ITproで約4年、200回にわたり「SNSと企業の一歩進んだ付き合い方講座」を連載したアドビシステムズの熊村 剛輔氏が、ITproマーケティングに場を移し、デジタルマーケティングに関わる様々なトピックを取り上げる。
アドビシステムズ マーケットディベロップメントエンジニア
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2018年4月に終了した本連載の続編は、「一頭地を抜くデジタルマーケティング」として掲載しています。
ITproで約4年、200回にわたり「SNSと企業の一歩進んだ付き合い方講座」を連載したアドビシステムズの熊村 剛輔氏が、ITproマーケティングに場を移し、デジタルマーケティングに関わる様々なトピックを取り上げる。
2018年4月に終了した本連載の続編は、「一頭地を抜くデジタルマーケティング」として掲載しています。
2017年秋頃から本コラムで、スマートスピーカーの普及によって変化する消費者行動について何回か取り上げてきた。この変化に対応して、企業のマーケティング活動も変わらなくてはいけない。スマートスピーカーが消費者の生活空間に溶け込んだことが、日常生活に影響を及ぼし始めている。
仏広告大手ピュブリシス傘下の調査会社ゼニス社は2018年3月、2018年の広告市場が2017年対比4.6%の成長になるという予測を発表した。中でもオンライン広告市場の伸びは非常に大きい。
現在、消費者の日常や企業のビジネス活動の至るところに、“デジタル”が自然なかたちで存在している。そのため企業は、自社のマーケティング戦略や個々の施策といった“狭い枠組み”の中でデジタルを活用するのではなく、テクノロジーを味方に付けて、自らをデジタル化していかなければならないといわれている。
米国のB2B企業が2017年ころから、Eコマースとコンテンツマーケティングに対する取り組みに、これまで以上に力を入れるようになった。特にB2B企業のEコマースの活況ぶりについては、2018年3月米eMarketerが、わざわざ『B2B Ecommerce 2018』と題して特集記事とレポートを公開…
2018年3月21日に、米広告大手インターパブリック・グループ傘下の調査会社マグナ・グローバル社が米国の広告市場の予測を発表した。同調査によると2018年の米国の広告市場は約1970億ドル(約20兆6280億円)と、過去最大規模になるという。
新しいテクノロジーには、世に登場してから瞬く間に人々の生活に浸透し、さらには人々の購買行動をも変えてしまうものがある。近年では、スマートフォンがその最たる例といえる。そして人々の購買行動を変えると目されるテクノロジーがもう一つ、2017年ころから新たに広がり始めた。
米eMarketerが2018年3月に公開した米国のインターネット人口(1カ月に1回はアクセスする利用者)は、2018年中には約2億8000万人に達するという。これは米国の全人口の約85%に相当する。
2018年2月22日、今年も電通が「日本の広告費」を発表した。2017年の日本の総広告費は、対前年比1.6%増の6兆3907億円となり、これで6年連続のプラス成長。右肩上がりの状況が続いている。この動きを支えているのが、対前年比15%増の伸びを見せたインターネット広告だ。
Exchange SolutionsとGo-to-Market Prosは2018年2月下旬、米国小売り70社の役員を対象に実施した調査を基に、“パーソナライゼーションに成功している”企業名を明らかにした。2017年下半期に実施した調査によるもので、米百貨店ノードストロームと仏化粧品セフォラ、そし…
米国では2017年頃から、特にInstagram上でセレブやスポーツ選手など「インフルエンサー」を介したマーケティング施策、いわゆる「インフルエンサーマーケティング」が広がっている。その一方で、FTC(米連邦取引委員会)のインフルエンサーマーケティングに対する監視がさらに厳しさを増している。
米国で最もデジタルディスラプション(digital disruption、デジタルによってビジネスモデルや提供価値が大きく変化する現象)が起こっている業界は、流通小売業界だといわれている。消費者の日常生活にデジタルが急速かつ深く入り込んだ中で、大きく変化する購買行動に対応しながら、自らを変革させる…
「企業のマーケティング活動における動画活用は、今後ますます盛んになる」と言われるようになってから久しい。そして2018年は、その流れが本格的に加速するだろう。背景にあるのは、オンラインで動画を視聴する人口が、特に「Gen Z(1995年から2010年ころまでに生まれた世代)」を中心に増加してきたこ…
学生限定だったFacebookが一般ユーザーに開放され、Twitterがサービスを開始したのは2006年のことだ。それからわずか2年ほどで米国では、企業がSNSをマーケティング活動に戦略的に活用するようになった。2008年には「social media marketing」という言葉を、多くのとこ…
マーケティング業務を遂行する上で、派生する様々な業務を代行してくれるマーケティングエージェンシー(エージェンシー)は、必要不可欠な存在といえるだろう。ある程度規模の大きいマーケティング活動を展開するならば、リソース面も含めどうしてもエージェンシーの力を借りることになる。
2017年から米国投資家たちは、「FAANG(ファングと読むのが一般的)」という造語をよく使うようになっている。これは米国株式市場における「主要テクノロジー銘柄」の略称で、Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Googleの頭文字を並べたものだ。
2017年は、広告枠の仕入れや買い付けが自動化されている「運用型広告」について広く議論されるようになった一年と言っていいだろう。これまで一部で懸念され警鐘が鳴らされていた問題が、まとめて顕在化した。
2017年の後半あたりから、2018年の米国流通小売業界のトレンドが、ある一つのキーワードで語られるようになってきた。そのキーワードとは「Polarization」。日本語では「両極化」と訳されることが多い。
毎年、年末になると、どの業界でも「今年の総括」が多く語られるようになる。2017年もメディアや調査会社が様々な形でデジタルマーケティングについて総括をしている。Forbes Agency Councilが発表した「2017年伸び悩んだ15のトレンド」に興味深い情報があった。
オンラインでの消費者の購買行動が活発になるにつれて、デジタルマーケティングの手法も、より進化している。「パーソナライゼーション」も、その一つだろう。ただし、パーソナライゼーションの仕方を間違えると、売り上げを低下させるだけではなく、企業やブランドのイメージを毀損させてしまう結果にもつながりかねない…
米国のプロアメリカンフットボールリーグ(NFL)は、試合中継のたびに高い視聴率を叩き出してきた。しかし2016年あたりから、そうとも言えなくなってきた。2017年1月の米ニールセンの発表によると2016年シーズンのテレビ視聴率は、開幕当初から前年割れを記録。最終的には前年比で8%の低下という結果と…
米国の年末商戦は、消費者の購買行動がデジタルによって変化した結果、年々前倒しされている。だが、いまだにサンクスギビングデーやブラックフライデー、サイバーマンデーに、店舗やECサイトの売上高が急上昇することに変わりはない。
「2014年以来、上がり続けていた企業のマーケティング予算が、2017年は3年ぶりに右肩下がりになった」――。2017年11月14日、米ガートナーがこんな調査結果を発表した。この調査は、米国と英国でCMO(最高マーケティング責任者)など約350人に対して実施したものだ。
2017年秋に、日本市場でスマートスピーカーが活況を呈している。米グーグルが「Google Home」を、米アマゾンが「Amazon Echo」を日本市場に投入し、LINEも「Clova WAVE」を発売したのだ。各社が「トレンドを作っている」といってもいいだろう。
~変わったものと変わってはいけないもの
今や“デジタルマーケティング”という言葉さえもが死語になる時代に入ろうとしている。企業のマーケティング活動の中にデジタルの要素が当たり前のように組み込まれるようになった今、あえてデジタルだけを切り出して語ることに意味がなくなってきた。
2007年6月に米アップルのiPhone登場してから10年が経過した。振り返ると、「マーケティングに“モバイル”が不可欠な要素となってから10年がたった」ともいえる。10年の間にモバイルを重要な顧客接点の一つとして位置付け、積極的に投資をし、施策を展開してきた企業は少なくない。
人々の情報消費、そして購買行動がオンラインにシフトするほど、オンライン広告の市場規模は拡大していく。市場が拡大しているとはいえ、オンライン広告媒体が現状を楽観してよいかといえば、必ずしもそうとは言えない。特に今後「アドブロック」が、非常に大きな存在になってくるはずだ。
2017年も10月半ばを過ぎた今、今年も米国では流通小売業界を中心に、ホリデーシーズンに向けて、大きく動き始めている。NRF(全米小売業協会)は、「2017年の米国小売業界でのホリデーシーズン売上規模は、2016年より4%ほど伸びて約6800億ドル(約76兆円)になる」との予測を公開した。
“これからのデジタルマーケティング”を語る上で、「AI(Artificial Intelligence = 人工知能)」は、必要不可欠なキーワードの一つといっていいだろう。これまで様々なマーケティング業務で、マーケターが自分自身で手を動かさざるを得なかった煩雑な作業が、AIによって省力化かつ効率化…
英WARC(World Advertising Research Center)は、2017年9月に発表した調査で、2018年のMarTech(マーテック)市場の規模を予測した。その規模は英国と米国だけで約34億ドル(約3800億円)に達し、この両国では企業のマーケティング予算の16%が、MarT…
マーケティングは、デジタルによって大きく変化し続けてきたが、企業にとって最も大きな課題は依然として変わらない。それは“人材”だ。マーケティング人材が不足しているという問題は、日本に限った話ではない。米国でも同様に人材不足が深刻化している。
いまや企業がマーケティング活動の実践にあたって、データは必要不可欠な存在になっている。それはB2CであれB2Bであれ変わらない。特にB2Bについては、近年マーケティングオートメーション(MA)が企業に広がるにつれて、どのように関連するデータを集め、それを有効活用していくかが併せて議論され始めている…
米国企業のB2Bマーケティングは、マーケティングオートメーションの普及で、非常に進化しているというイメージがある。しかし実際には、まだ発展途上な部分も多々あるように思える。米Act-On社が実施した調査結果を深く読み解いてみると、この1年ほどで「進んでいる企業」と「そうでない企業」の差が、より浮き…
毎年2月と8月の2回、米デューク大が全米マーケティング協会や米デロイトと共同で『The CMO Survey』と題した調査結果を公開している。この調査は2008年から、あまり調査内容を大きく変化させることなく続いている。2017年の8月末に、同調査の最新版(2017年8月版)が、予定通り発表された…
これまで主に大規模な小売業者によるECサイトなどで買い物をしていた消費者が、近年メーカーやブランドが運営するECサイトに、その場を移す傾向にあるという。米Astound Commerce社が2017年8月に発表した調査からもその傾向が見えてきた。
米国では8月も終わりになると、あちこちで今年の“ホリデーシーズン(年末商戦)”についての話題が語られ始める。この“セールの前倒し”は、近年どんどん加速している。米調査会社eMarketerが発表した、米国の2017年のホリデーシーズンに関わる流通小売業界のビジネス予測では、大きなトレンドの一つに「…
言うまでもないことだが、企業がオンライン上でマーケティングコミュニケーション活動を展開するに当たって、オンライン広告は必要不可欠な存在である。そして今や、オンライン広告は、「オンライン広告」という言葉でくくるには、あまりにも多様化している。
コンサルティング会社の米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は毎年、「Digital IQ」と呼ぶ調査を実施・発表している。Digital IQとはPwCが作った造語であり、「組織としてテクノロジーを利活用し、収益を向上させる能力」と定義している。調査結果によると、「自分たちの会社は高いD…
もう何年にもわたり、「企業のマーケティング活動は、より複雑化、高度化するため、CMO(最高マーケティング責任者)の存在が重要になる」と語られてきた。日本でも、ある種の理想形として考えられている。CMOを置く企業も年々増えてきている印象だ。だが現在の米国では、CMOは“Endangered”、つまり…
“マーケティング”という言葉の中に「デジタル」という要素を数多く含むようになった今、これまでエージェンシーに任せっきりとなっていたマーケティング業務を、企業が自製化するケースが増えてきた。実はこういった傾向は、5年前の2013年に全米広告主協会が公開した「The Rise of the In-Ho…
2016年ころから、米国のマーケティング業界で“Gen Z”という語が非常に多く使われるようになってきた。この“Gen Z”とは「ジェネレーションZ(Generation Z)」の略で、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代、「ジェネレーションY」とも呼ばれる)の次の世代に…
「米国の一部大手広告主に、デジタル広告費を削減する動きが出始めている」――。1週間ほど前に、こんな話題がデジタル広告業界内を駆け巡った。2017年6月26日に、米メディア「Business Insider」が、米広告調査会社MediaRadar社のデータを基に「米プロクター・アンド・ギャンブル社(…
米国のメディア業界は、この1~2年でゆっくり、かつ確実に変化している。“トレンド”というよりは、“進化”に近いものかもしれない。急激かつ一過性のものではなく、目立たないがじわじわと変化していっているような印象だ。
新しい仕組みや方法論が普及するたびに、これまで使われていたものが「時代遅れ」とされ、「使えない」とばかりに、そのパフォーマンスが全否定されるようなことが時々起こる。例えばソーシャルメディアが広く普及し始めた頃のメールがそうだった。
この1~2年で、日本でも「デジタルトランスフォーメーション」という言葉をよく耳にするようになった。最初にこの言葉が提唱されたのは2004年のこと。スウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる概念」と定義したものだ。
2016年の5月、本連載で「アドブロック」について触れたことがあった。アドブロックとはブラウザーの機能拡張などを使って、ウェブサイト訪問時に、広告をはじめとするユーザーが望まない項目が読み込まれるのを、意図的にブロックする行為を指す。2016年の記事で紹介した2015年7月に米調査会社Global…
オンライン広告、特にディスプレイ広告に関連して「アドフラウド(Ad Fraud = 広告詐欺)」が、2016年頃から日本でも問題として議論されるようになってきた。アドフラウドとは、ボット(bot = 自動化されたプログラム)などを使い、多数の広告表示やクリック数を不当に発生させ、広告費用に対する成…
企業のマーケティング、特にコミュニケーション活動に、デジタルが幅広くかつ深く入り込むようになった。この影響を最も強く受けているのが広報(PR)部門だろう。広報に携わる人のおよそ半数は、「今後5年で広報は、よりマーケティング活動に沿った動きになるだろう」と回答した――。2017年1月から2月にかけて…
「あなたの会社は、きちんとしたデジタルマーケティング機能を持っていますか?」こういう問いを投げかけられたら、どう答えるだろうか。自信を持って「持っている」と回答する企業もあれば、「いや、うちはまだまだ……」と回答してしまう、自己評価の低い企業もあるだろう。
企業のマーケティング部門で、営業部門との関係について、「両者はもっと協調すべきだ」という議論になることが多くある。これは今に始まったことではない。さらに企業のビジネスやマーケティング活動の中に、「デジタル」が深く入り込むようになってからは、営業部門だけではなく情報システム部門との関係でも、同様の議…
恐らくほとんどの企業でメールは、Webサイトと併せて、主要な顧客接点の一つとして位置付けられているに違いない。ただし古くから活用されてはいるものの、その効果は過小評価をされ続けている。ただこの1~2年で、メールの位置付けと効果が再考されつつある。背景にあるのが、多くのマーケターの関心の対象が、マー…
特定の製品やベンダーに依存しないIT関連資格・認定などをてがけるITの業界団体「CompTIA(The Computing Technology Industry Association=コンピューティング技術産業協会)」の米国本部は、毎年「Cyberstates」と題したリポート(編集部注:資料…
日本では、全く話題になっていないのだが、2017年3月29日に、ロケーションターゲティング(位置情報を元にしたターゲティング)に関わる大きな発表があった。米MRC(Media Rating Council=メディア評価評議会)が、ロケーションターゲティングの効果測定に関するガイドラインを、米IAB…
毎年3月から4月にかけてのこの期間、米国ではいくつかの広告代理店や調査会社が、米国および世界の広告市場についてリポートを発表する。2017年も、仏広告大手ピュブリシス傘下の調査会社ゼニス社が3月27日に、そして米広告大手インターパブリック・グループ傘下の調査会社マグナ・グローバル社が3月30日に、…
デジタルマーケティングの推進に当たって、インフラを含むデジタルマーケティングツールの活用は、もはや避けては通れないものとなっている。ツールの導入は、ツールそのものの機能や使い勝手などのよし悪しだけではなく、自社のビジネスや業務プロセスとの相性がその結果を大きく左右する。このため複数の部門で使うツー…
英語圏では“Marketing”と“Technology”を組み合わせた造語である「MarTech(高速かつ効果的なビジネス展開を目的に、企業がマーケティング活動にデジタル技術を取り入れること)」は珍しいものではなくなってきた。
これからのオンライン広告は、さらにモバイルにシフトしていく。実際、米調査会社BIA/Kelsey社は1月に発表したリポートで、米国におけるモバイル広告の市場規模は今後も引き続き拡大し、2020年には2016年のほぼ2倍の約65億ドル(約7460億円)に達すると予測している。さらに1年後の2021年…
今回は「mコマース(モバイルを使ったeコマース)」を取り上げる。mコマースは、新興国を中心に利用が大きく伸び、2020年までの市場規模は50兆円を超えるといわれている。利用が大きく伸びる中、mコマースの利用のされ方も変わる一方、直面している課題も具体化し始めている。
消費者のモバイルの利用時間が、過去3年間で63%も増加した米国では、消費者の利便性向上を目的とした「モバイルへの対応」が非常に重要なポイントになっている。そして特に、モバイルへの対応が最も強く求められているのが金融機関だといえる。
「インフルエンサーマーケティング」とは、自分の周囲にいる人の消費行動に影響を及ぼす「インフルエンサー」を活用したマーケティング手法のこと。ただこの手法は、日本でも米国でも、やらせやステルスマーケティング(巧妙に隠されたマーケティング手法のこと)の印象が強いと思われることがままある。
Eコマースを、企業はどう捉えているのだろうか。全米広告主協会(Association of National Advertisers)は、会員企業を対象に2016年夏に実施した調査結果をまとめたリポートを、2017年1月に発表した。これによると、74%の企業が現在何らかの形でEコマースを運営してお…