2007年6月に米アップルのiPhone登場してから10年が経過した。振り返ると、「マーケティングに“モバイル”が不可欠な要素となってから10年がたった」ともいえる。10年の間にモバイルを重要な顧客接点の一つとして位置付け、積極的に投資をし、施策を展開してきた企業は少なくない。
そしてこの10年で、いわゆるイノベーター的な企業と、そうでない企業の差はどんどん拡がっている。2017年10月に米調査会社L2社が、米国企業を中心に100のブランドを調査した結果をまとめたリポートからもその一端が見える(編集部注:調査結果は個人情報の登録後に閲覧可能)。
同リポートによると、企業のモバイルに対する取り組みを「マーケティング」と「コンテンツ」の二軸で評価した際、どちらも高いレベルにある「リーダー」的企業は全体の16%しかないという。逆にどちらも低いレベルである「ラガード(Laggard = 遅れている)」な企業が約半数(49%)を占めていた。
モバイルに限らず、いわゆるリーダーとラガードとの差は、近年さらに広がっている。リーダーは、テクノロジーに投資をして、そこからマーケティング活動全般におけるROI(投資利益率)を向上させている。増えた利益の中から、さらにテクノロジーに投資をして、さらなるパフォーマンスの向上を導き出すというサイクルを回してる。
こうしたトレンドは、米調査会社Ascend2社が2017年10月に発表している調査結果からも見て取れる(編集部注:調査結果は個人情報の登録後に閲覧可能)。この調査は米国内約200社(うち約7割は何らかの形でB2Bビジネスを展開している)に属するマーケティング部門の役職者を対象にしている。ここでは「テクノロジーへの投資がROIを向上させた」という回答が全体の90%以上を占めていたのだ。
Ascend2は同レポートに、ROIを見いだせている領域として最も多かったのは「分析または予測モデルの作成」であるとし、「ROIが向上した」と回答した中の50%に上っていたことを記載している。以下「データ管理(45%)」、「マーケティング活動全般(38%)」、「コンテンツまたはUX管理(37%)」が続いている。
これらはいずれも、大量のデータやコンテンツを扱う領域である。こういった省力化や効率化といった部分は、比較的ROIを見いだしやすい。