「インフルエンサーマーケティング」とは、自分の周囲にいる人の消費行動に影響を及ぼす「インフルエンサー」を活用したマーケティング手法のこと。ただこの手法は、日本でも米国でも、“やらせ”や“ステマ”(ステルスマーケティングの略で、巧妙に隠されたマーケティング手法のこと)の印象が強いと思われることがままある。そのインフルエンサーマーケティングに米国では、“2.0”という修飾語が付き始めた。次のフェーズに向かう動きを見せているようだ。

 2017年1月に米TopRankMarketing社とAltimeter社がまとめた「Influence 2.0: The Future of Influencer Marketing」(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)と題されたリポートは、こんな提言をしている。「マーケターは、今後インフルエンサーマーケティングをいわゆるキャンペーン単位で実行する認知獲得活動ではなく、マーケティング活動全般により長期的にかつ密接に関わるものとして位置付けるべきだ」――。

 提言にある内容を実行するには、企業がインフルエンサーとどれだけきちんとした関係性を構築していけるかが大前提になる。もちろんこれまで企業は、インフルエンサーとの関係性を構築してこなかったわけではない。このリポートでも、「米国のグローバル企業の80%以上が業界のインフルエンサーとの直接的な関係性を構築、維持することが非常に重要な課題であるとしている」としている。

 だが、これまでの企業とインフルエンサーの関係性は、どちらかと言えば短期的かつ表層的なものであることが多かった。つまりこれからのインフルエンサーマーケティング、つまり“バージョン2.0”において求められる企業とインフルエンサーの関係性は、従来と大きく異なるということだ。

 企業は今後、自社の長期的なマーケティング戦略に根差して、インフルエンサーの理解や共感をより多く得ながら、双方向でかつ強固な関係性を構築していくことを求められる。そうして生まれた関係性を土台として、単なる表層的な認知獲得だけはなく、消費者の間に(企業やブランドの)“ファン”を増やし、そのファンによって作られるコミュニティーを大きくしていくことが、一つのゴールとなってくる。

 そのためには、これまでよりも戦略的かつ長期的なスパンでインフルエンサーマーケティングを考え、アプローチしなくてはならない。活動の位置付けが変わることによって、その活動の評価方法も変わってくる。そこで、このリポートで提唱しているのが「Return On Relationship(ROR)」という考え方だ。

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