もはやあえていうまでもないことに思えるが、これからのオンライン広告は、さらにモバイルにシフトしていく。実際、米調査会社BIA/Kelsey社は、1月に発表したリポート(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)で、米国におけるモバイル広告の市場規模は今後も引き続き拡大し、2020年には2016年のほぼ2倍の約65億ドル(約7460億円)に達すると予測している。さらに1年後の2021年には約72億ドル(約8260億ドル)にまで届くという。年平均成長率が17%となる計算だ。

 もちろん、これはモバイルユーザー、特にスマートフォンの普及率が伸びていることが大きいが、それ以上に大きな要因がある。それは位置情報ターゲティングを利用した広告の急速な普及だ。

 2016年時点で位置情報ターゲティングを利用した広告は、モバイル広告市場全体の38%を占めており、2021年には45%に拡大する。つまり5年後スマートフォンに表示される広告のおよそ半分は、位置情報ターゲティングを使って配信されるものになる。

 位置情報ターゲティングを利用した広告が普及することで推測されるのは、「エリア限定」で広告を出稿する、中小の広告主が増加するということだ。これら企業の広告出稿額は1社単位で見ると非常に少ないが、全米規模でこれらの利用が爆発的に伸びると予測されている。結果としてモバイル広告市場全体を大きく成長させる原動力になると見られている。

 もう一つ、モバイル広告の成長を加速させる要因がある。それはソーシャル広告とネイティブ広告(メディアやサービスに自然になじむデザインや機能で表示される広告。一見しただけだと広告に見えないという特徴がある)、そして動画広告のさらなる普及だ。

 例えばネイティブ広告やソーシャル広告は、2016年にはモバイル広告市場全体の約31%を占めているが、2021年には34%とその割合を増やしていると予測されている。動画広告についても同様で、2021年にはモバイル広告市場全体の約10%を占めるという。

 その一方でリスティング広告は、その割合を下げると予測されている。2016年時点でモバイル広告市場の44%を占めているものの、2021年には32%にまでその数字を下げるという。つまり、新しいフォーマットの広告がリスティング広告に取って代わるということだ。

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