2017年は、広告枠の仕入れや買い付けが自動化されている「運用型広告」について広く議論されるようになった一年と言っていいだろう。これまで一部で懸念され警鐘が鳴らされていた問題が、まとめて顕在化した。

 例えば「アドフラウド(Ad Fraud = 広告詐欺)」や、公序良俗に反したり著作権を侵害したりしているコンテンツを掲載するサイトへの広告掲載が引き起こす「ブランド毀損」は、その代表的な例だ。

 こういった問題に対して、米国の一部の広告主企業は、特に運用型広告を中心にデジタル広告費を大幅に削減するなどし始めた。ANA(全米広告主協会)が2017年12月に発表した、会員企業を対象にした調査結果からもその一端が見える。「調査対象者企業の78%が運用型広告に関して、何らかのブランド毀損を懸念している」というのだ。

 一方で運用型広告は、少なからずメリットがあると考えている企業が積極的に活用している。ANAの調査でも「ターゲティングができる」、「より広い顧客層にリーチできる」、「クオリティやパフォーマンスの最適化をリアルタイムに実施できる」といった点で、広告主企業が評価しているという。

 これはB2Cビジネスを展開する企業に限った話ではない。米大手信用調査会社のダンアンドブラッドストリート(D&B)社は、2017年11月にこんな調査結果を発表している。「米国でB2Bビジネスを展開する企業の約60%は運用型広告を活用しており、2018年により積極的な予算を投下(対前年比25%以上)する回答した企業が2割を超えた」――。

 運用型広告では、アドフラウドやブランド毀損といったリスクが懸念される。それでも、その利便性とパフォーマンスを捨てがたいと感じている企業は少なくない。

 そのため、リスクを最小限に抑え、かつコスト効率を高めることを目的として、運用型広告に関連する業務を「内製化」するよう大きくシフトする企業が増えている。2018年は、その流れにますます拍車がかかりそうだ。

 これまで企業のデジタルマーケティングに関連する業務では、運用型広告のオペレーションは比較的アウトソーシングしやすいものだった。しかしANAの調査結果では、2017年に「運用型広告関連業務をより内製化させるべく外部広告代理店の業務範囲を縮小した」と回答した企業が35%に上ったという。これは2016年の14%と比較すると2.5倍になる。

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