学生限定だったFacebookが一般ユーザーに開放され、Twitterがサービスを開始したのは2006年のことだ。それからわずか2年ほどで米国では、企業がSNSをマーケティング活動に戦略的に活用するようになった。2008年には「social media marketing」という言葉を、多くのところで目にするようになっていた。

 そう考えると、SNSがマーケティングに使われるようになってから、既に10年が経過したことになる。そんなタイミングで、米国の市場調査会社であるeMarketerが「2018年ソーシャルメディアは大きな節目に差し掛かる」というテーマで調査データを発表した。

 この調査が訴えたのは、既にデジタルの世界で圧倒的に強い存在であるFacebookが、2018年はそれを象徴する大きな数字を残すという予想だ。まず「2018年には、企業がFacebookに対して出稿する広告費はデジタル広告全体の23.0%を占める」という(金額にして215.7億米ドル=2.34兆円程度)。これは(デジタル広告に限らない)広告費全体の10%に相当する計算になる。

 この数値は、「紙媒体が獲得する広告費とほぼ並ぶ」ことを意味する。2018年に企業が紙媒体に対して出稿する広告費は広告費全体の10.8%となり、Facebookとほぼ変わらないというのだ。そして2019年にはFacebookに対する広告費が紙媒体に対するそれを上回ると予測している。

 Facebook以外のSNSも広告媒体として無視できない規模になっている。Twitterは、以前に比べて数字を下げたものの、「2018年は1200億円以上の広告売上になる」と予測している。Snapchatもほぼ同規模の規模になるとしている。

 既に企業はSNSを、10年前のように“顧客と密にコミュニケーションを取るためにメディア”とも、“インフルエンサーを介して情報を拡げるためのメディア”とも見ていない。広告を出稿するための媒体として位置付けており、そうせざるを得ない状況にもなっている。

 米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは自身の投稿で、Facebookの2018年の方向性の一つとして、「企業、ブランド、メディアによる投稿、つまり“public content”をユーザーのニュースフィードに表示する量を少なくしていく」と明らかにした。つまり「広告」という形を取らないと、消費者にメッセージが届かない可能性がこれまで以上に高まる可能性があるのだ。

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