仏広告大手ピュブリシス傘下の調査会社ゼニス社は2018年3月、2018年の広告市場が2017年対比4.6%の成長になるという予測を発表した。中でもオンライン広告市場の伸びは非常に大きい。2018年は世界の広告費全体の40.2%がオンライン広告につぎ込まれると予測している(2017年は37.6%だった)。

 同社はこの傾向がさらに加速すると予想しており、2020年には44.6%までそのシェアを増やすと考えている。国によっては、オンライン広告のシェアが大きくなるところも出てくるだろう。同社の調査では既に、中国とスウェーデン、イギリスの3カ国では、2017年時点でオンライン広告のシェアが55%以上になっている。

 これほどオンライン広告の市場規模が拡大しているのは、世界中で企業のデジタルトランスフォーメーションが進んでいるからにほかならない。その一環で、少なくとも何らかの形でオンライン広告が、自社のマーケティング活動において効果をもたらすと考えられている。

 企業からみれば、自分たちが顧客にしたいと考えている客層にターゲティングした広告を配信できることは非常に魅力的である。しかもパフォーマンスを可視化できる分、うまくいったときの成果も見えやすくなる。

 消費者にピンポイントでターゲティングができるという側面で(しかもモバイルユーザーに効果的にアプローチできるという点で)、Facebookは企業のマーケターにとって強力な広告媒体として考えられている。SNSとして消費者とコミュニケーションを取る窓口という側面から変化しているという話は、本連載でもこれまで何度か触れてきた。

 この状況はFacebookと、英ケンブリッジ・アナリティカ社によって大量の個人情報が流出した問題が起こった後でも変わらない。4月12日に米4C社は、「この問題が報じられた後でもFacebook広告への出稿は減っていない」というデータを発表した(編集部注:調査結果は個人情報の登録後に閲覧可能)。

 それどころかむしろ、出稿量は増えている。同社が独自に調査したところ、第一四半期最終週とその翌週のFacebook広告出稿額は、翌週の対前週比が15%増となっていたという。

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