2016年末に米Amazon.comは、同年のホリデーシーズン(2016年11月1日から12月25日まで)に世界で、同社にとって過去最高を記録したことを明らかにした。その一方で2017年は、年明けから米国の大手小売企業から大規模な店舗閉鎖計画が相次いで発表されている。こういった話をあえて語るまでもなく、消費者の生活にとってEコマースは、購買活動に無くてはならないチャネルの一つとなっている。
では、そのEコマースを、企業はどう捉えているのだろうか。全米広告主協会(Association of National Advertisers)は、会員企業を対象に2016年夏に実施した調査結果をまとめたリポートを、2017年1月に発表した。
これによると、74%の企業が現在何らかの形でEコマースを運営しており、2年後にはその数字が80%に達するという。チャネルの一つとしてEコマースを持つということは、もはや当たり前になっているといっていいだろう。
もちろん、単にチャネルの一つとして存在しているだけではなく、ビジネスとしても確実に成長している。それは66%の企業が「昨年よりも売り上げを伸ばしている」と回答していることからも分かる。さらに「Eコマースは自社の収益向上に貢献していると思う」という回答も、73%となっている。
さらに「どれだけ自社の売り上げに貢献しているか」という問いに対しては、「1~5%」という回答が26%、「6~10%」という回答が17%だった。つまり43%の企業で、売り上げへの貢献が「10%以下」であるとしている。
これを「多い」と見るか「少ない」と見るかは評価が分かれるところかもしれないが、全米広告主協会は「少ない」と見る。つまり「Eコマースは、もっと企業の収益向上に貢献しているはずだ」というのだ。
全米広告主協会は、この数字を「少ない」と見る理由として、まず「マーケティング部門とIT部門もしくはデータを分析する部門同士のコミュニケーションが不足している」点を挙げている(本調査では、Eコマースをマーケティング部門、もしくはCMO配下のEコマース専門部署が運営している場合が多いことも明らかにしている)。つまり、両者の連携がうまくいっていないことで、実態がきちんと数字に反映されていないと考えているのだ。
そして「データを収集、分析する環境が不十分である」という点、さらに「マーケター自身が自社の全体の収益と、マーケティング部門の損益を十分に把握していない」という点を挙げている。実際、前述の「どれだけ自社の売り上げに貢献しているか」という問いに対して「分からない」と回答した企業は30%だった。