「2014年以来、上がり続けていた企業のマーケティング予算が、2017年は3年ぶりに右肩下がりになった」――。2017年11月14日、米ガートナーがこんな調査結果を発表した。
この調査は、米国と英国で年間2億5千万ドル(約280億円)以上の収益を上げている企業のCMO(Chief Marketing Officer = 最高マーケティング責任者)、もしくはそれに相当する役職にある約350人に対して実施したもの(編集部注:詳細な調査結果はここから、個人情報の登録後に閲覧可能)。これによれば、2016年は企業収益のうちの12.1%あったマーケティング予算が、2017年には11.3%に減少したという。背景には、企業のマーケティング部門が直面している大きな課題が見え隠れしている。
今回の調査結果を読み解いてみると、大きく二つの動きが見えてくる。それは「デジタルへのシフト」と「ROI(投資利益率)に対するプレッシャー」だ。
2017年はマーケティング予算が減少した形になっているが、その裏ではデジタルへのシフトが大きく進んでいる。マーケティング予算に対する広告費の割合は25%となり、前年の22%と比して増加したが、その予算を「デジタル広告に対して、より大きく配分する」という回答が67%となっていた。一方で「今後、オフライン広告に対する予算配分を小さくする」という回答は63%に達していた。
つまり、少なくとも広告という側面では、大きなデジタルシフトが今後も続くと考えられているということだ。より効率的に成果を求め、それを可視化させるニーズが高まっている中で、自然な流れともいえるだろう。
だが一方で、近年の「フェイクニュース(Fake News=虚偽の情報で作られたニュース)」や「アドフラウド(Ad Fraud=広告詐欺)」の問題によって、オンラインの媒体価値が低下しているというリスクもある。大きくデジタルへシフトしているように見えているが、2018年以降は、デジタル広告費の使い道がより厳しく精査される動きになるだろう。