2016年の5月、本連載で「アドブロック」について触れたことがあった。
アドブロックとはブラウザーの機能拡張などを使って、ウェブサイト訪問時に、広告をはじめとするユーザーが望まない項目が読み込まれるのを、意図的にブロックする行為を指す。2016年の記事で紹介した2015年7月に米調査会社GlobalWebIndexが発表したリポートでは当時、米国でアドブロックを実際に利用しているインターネットユーザーは27%に上るとされていた。
リポートが発表されてから約2年が経過しているが、その後アドブロックは、どれほど普及してきたのだろうか。前回同様、米調査会社GlobalWebIndexが発表したリポート(編集部注:リポートへのアクセスにはサイトへの登録が必要)を見てみよう。これによると少なくとも特に米国のインターネットユーザーの間では、モバイルにおけるアドブロックを適用しているユーザーの割合は、インターネット(つまりパソコンを含む)ユーザーに比べると低い状況にある。
今回米GlobalWebIndexが発表したリポートは、そのタイトルが「The State of Mobile Ad-Blocking in 2017」となっている。つまりモバイルにおけるアドブロックについて調査したものである。
これによると、現在米国のインターネットユーザーでスマートフォン使用時にアドブロックをしているユーザーの割合はわずか15%にとどまっていた。「アドブロックを何らかの形で適用している米国のインターネットユーザーの中で」と範囲を小さくしても、22%にしかならない。
これは、スマートフォン上でのアドブロックに対するニーズが無いからというわけではない。実際、本調査では、30%以上が「スマートフォンでウェブサイトを閲覧する際、広告が多すぎると感じる」と回答している。そしてアドブロックをする理由として「邪魔、もしくは自分に関係無い広告が多すぎるから」という回答がほぼ半数(50%)を占めている。
このように利用ユーザーの割合が、非常に低い数字にとどまっている大きな理由は、「そもそもモバイルでアドブロックができることが自体、広く知られていない」というものだ。しかも、それはミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭にかけて生まれた層)以外の世代で顕著になっている。
今回の調査対象ユーザーを年代ごとに分けて見てみると、16歳から24歳の世代では62%がモバイルでのアドブロックを認知しているが、25歳から34歳では51%。そして35歳を過ぎると急激に下がり、40%未満となってしまう。