企業のマーケティング部門で、営業部門との関係について「両者はもっと協調すべきだ」という議論になることが多くある。これは今に始まったことではない。
さらに企業のビジネスやマーケティング活動の中に「デジタル」が深く入り込むようになってからは、営業部門だけではなく情報システム部門との関係でも、同様の議論がよく見られるようになった。これもいまさら数える必要がないほど、業界や業種、企業規模、そして国や言語を問わず、あちこちで語られていることだろう。
これは裏を返せば、マーケティング部門と営業部門、そして情報システム部門が、互いに協調すべきであると認識してはいるものの、すれ違いが多いという現状を反映している。これはどこか特定の部門だけに問題があるというものではなく、それぞれの部門に課題が存在している。米TrackMaven社が4月に発表したリポート「2017 Marketing Leadership Survey」(編集部注:資料ダウンロードにはサイトへの登録が必要)では、特にマーケティング部門における課題を浮き彫りにしている。
本リポートは、米国内で19業界の、主に従業員数5000人以上の企業約200社のマーケティング責任者を対象とした調査結果をまとめている。ここで主に指摘しているのは、マーケティング部門でのゴールと活動、そして効果測定指標にズレがあるという点だ。
例えば「マーケティング活動の主目的」として多くの回答を集めたのは「売り上げの向上」で、全体の60%ほどを占めていたが、マーケティング活動のKPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)として使われているのは「顧客とのエンゲージメント」(90%)、もしくは「メディア消費」(81%)が中心となっていた。売り上げ向上あるいはリード獲得につながる指標を使う企業は、50%程度でしかなかった。
もちろん、全てのマーケティング活動が営業活動や売り上げに直結するわけではないので、一概に売り上げやリードなどの指標で評価することは難しい。それでも本リポートでは「マーケティング活動のゴールと、そのための活動やKPIはそろっているべきだ」と提言している。
こういったズレは、マーケティング部門と営業部門の関係性にも影響を及ぼしている。本リポートによれば「マーケティング活動のインパクトを証明することが、これまでよりも簡単になった」と回答した企業が全体の60%近くに上っている。だが一方で「これらのインパクトが、マーケティング活動の価値を社内的に認知させている」と回答した企業は全体の30%にも満たなかった。