これまで主に大規模な小売業者によるECサイトなどで買い物をしていた消費者が、近年メーカーやブランドが運営するECサイトに、その場を移す傾向にあるという。米Astound Commerce社が2017年8月に発表した『2017 Global Brand Shopper Survey』という調査で、「回答者の半数以上(55%)が、買い物を行う際、小売業者によるECサイトではなく、メーカーやブランドが直接運営し、販売しているECサイトを利用する」との結果を公開した。
メーカーやブランドの運営するECサイトが、消費者の購買活動に積極的に利用されるようになった理由は、大きく二つある。一つは「ウェブサイトの利便性が向上した」こと。そして、もう一つは「メーカーやブランドが、購入時(または購入後)のサービスやサポートを充実させている」ことだ。
背景には、これまでECをそれほど重視していなかったメーカーやブランドが、ウェブサイトを販売チャネルの一つとして重要視し始めたことがある。ウェブサイトに様々な投資をしたことが、ようやく実を結び始めたと言ってもいいだろう。
以前は情報収集の場としてすら利用されてこなかったメーカーやブランドのウェブサイトは、ここへ来て利用者を増やしている。例えばモバイルへの対応や、商品情報の充実化、これらの情報を(例えばVR技術を駆使する形で)高度な見せ方で消費者に届けるよう進化を続けている。
さらに購入時、そして購入後のサポートを充実させるなど、価格以外の面でメーカーやブランドならではの強い競争力を持つようになったことも、利用者の増加を後押ししている。もはや消費者は「安さ」だけではなく、きちんとした「顧客体験」を得られない相手から、モノを買わなくなっているのだ。
だが「顧客体験」という観点で見た際、メーカーやブランドの運営するECサイトには改善の余地がある。その中でも大きいのがウェブサイトそのもののパフォーマンスだ。