2018年2月22日、今年も電通が「日本の広告費」を発表した。2017年の日本の総広告費は、対前年比1.6%増の6兆3907億円となり、これで6年連続のプラス成長。右肩上がりの状況が続いている。

 この動きを支えているのが、対前年比15%増の伸びを見せたインターネット広告だ。他の広告費が対前年比マイナスもしくは微増であることを考えると、全体の“伸び分”のほぼ全てがインターネット広告によるものといっていいだろう。実際、2017年の広告費全体に占めるインターネット広告費の割合は23.6%であり、テレビの28.4%に迫る規模となった。

 SMI(Standard Media Index)が2018年1月に公開した速報値によると、米国の2017年の広告費は、対前年比3.8%増だった。そしてインターネット広告費は対前年比11.9%増となっている。つまり、米国も日本と同様の傾向を見せている。

 インターネット広告費の伸びを牽引しているのがFacebook(Instagramを含む)およびSnapchatに対する広告費だ。Twitterが対前年比11.8%減と大きく落ち込む中、Facebook(とInstagram)は対前年比40.5%増、そしてSnapchatは対前年比51%増と大幅な伸びを見せ、インターネット広告市場全体の成長に貢献している。

 これだけ見ると、非常に見通しが明るく見えるインターネット広告市場だが、もちろんそれだけではない。例えば「フェイクニュース」を掲載しているウェブサイトへの広告出稿によるブランド毀損、つまり「ブランドセーフティ問題」や、「アドフラウド」といった、ボットなどによる広告表示回数の水増しなどの課題が見えている。これらは今後のインターネット広告市場の成長にあたって、大きなリスク要因になり得る。

 既に各所で報じられているように、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)はインターネット広告費の大幅削減を含めた広告戦略の見直し方針を明らかにしている。背景にはブランドセーフティ問題やアドフラウドがあるようで、ほかの大手企業にも同じ動きが見え始めている。こういった動きがさらに多くの企業に影響する可能性は少なくない。

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