米国で2017年の年末商戦の幕が上がった。感謝祭(11月第4木曜日)からサイバーマンデー(その翌週の月曜日)にかけての5日間で、のべ約1億7400万人が実店舗もしくはECサイトで買い物をし、その売り上げは約583億9000万ドル(約6兆6000億円)に上ったとNRF(全米小売業協会)が発表した。
2017年は特にECサイトへのシフトが大きく目立った。「実店舗とECサイトを併用」した消費者が約6460万人(約37%)であるのに加え、「ECサイトだけしか利用しなかった」消費者が約5840万人(約33%)だったという。合わせて約70%の消費者がECサイトを利用したことになる。
オンラインでの消費者の購買行動が活発になるにつれて、デジタルマーケティングの手法も、より進化している。「パーソナライゼーション」も、その一つだろう。
パーソナライゼーションは、ECサイトに限らずメールや広告など、あらゆるところで使われている。もちろん、それは消費者に利便性をもたらすからだ。
2017年11月に英Eagle Eye社が発表した調査によると(編集部注:調査結果の全文は個人情報の登録後に参照可能)、「消費者の約75%はいわゆる“万人に等しく向けられたプロモーション”をあまり心地よく感じていない。そして半数以上(54%)は過去の購買履歴から、何らかのお勧めをしてほしいと思っている」という。つまり半数を上回る利用者が、パーソナライゼーションを求めているのだ。
求められるパーソナライゼーションの品質は、高度化していく。米アクセンチュアが2017年12月に発表した、世界の約2万5000人の消費者を対象に実施した調査結果「Global Consumer Pulse Research」からもその状況が分かる。
この調査結果によると、「『パーソナライゼーションが足りない』という理由で、その企業(ブランド)との関わり合いをやめてしまった」と回答した消費者が約25%いる。
ただし、パーソナライゼーションの仕方を間違えると、売り上げを低下させるだけではなく、企業やブランドのイメージを毀損させてしまいかねない。パーソナライゼーションの精度を向上させるためには、顧客に関するデータをどれだけ効果的に利活用できるかが一つのカギとなるが、データを過度に収集し、さらに消費者が不安を感じるほどのピンポイントでパーソナライゼーションした情報を提供すると、逆効果を招くことがあるのだ。