この1~2年で、日本でも「デジタルトランスフォーメーション」という言葉をよく耳にするようになった。最初にこの言葉が提唱されたのは2004年のこと。スウェーデンにあるウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる概念」と定義したものだ。

 これが企業ビジネスの文脈で語られるようになったのは、米調査会社IDCがデジタルトランスフォーメーションに絡めて提唱した概念が広まったことによると言われている。その概念とは「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」というものだ。

 ここで言う「第3のプラットフォーム」とは「ソーシャルテクノロジー(Social)」「モバイル(Mobile)」「(ビッグデータ)アナリティクス(Analytics)」「クラウド(Cloud)」で構成される。英語圏では、これらの頭文字を取って「SMAC」という略語で語られることが多い。

 さて、このデジタルトランスフォーメーションだが、一足先に進んでいると思われている米国の実情を垣間見ることができるリポートを、2017年6月にインドWiPro社のデジタル事業部門(WiPro Digital)が発表した。

 このリポートは、米企業の上級役員400人に実施した「デジタルトランスフォーメーション」に関連する調査の結果をまとめたものだ。これを読み込む限り、企業がビジネスの側面で、何らかの形でデジタルトランスフォーメーションに相当する動きを始めている(その多くは「デジタルトランスフォーメーション」ではなく「デジタル戦略」「デジタル化」「ビジネス変革」といった語で語られていることが多い)と言っていいだろう。

 これら企業らが過去1年間に力を入れた領域が、前述のSMACである。特に「SMAC」の「A」に相当する「(ビッグデータ)アナリティクス」については、70%以上の企業が積極的に取り組んでいる。

 さらにこういったデジタルトランスフォーメーションにより、何らかの形で競合他社との差異化ができていると回答した企業も90%弱となっている。

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