米国では2017年頃から、特にInstagram上でセレブやスポーツ選手など「インフルエンサー」を介したマーケティング施策、いわゆる「インフルエンサーマーケティング」が広がっている。米eMarketerは調査に基づいて、「米国企業の、インフルエンサーマーケティングに対する投資は増えている」と指摘した。これまでは“アドオン”つまりプラスアルファ的な位置付けだったものが、“手段として無くてはならないもの”にまでなっているという。
その一方で、FTC(米連邦取引委員会)のインフルエンサーマーケティングに対する監視がさらに厳しさを増している。この問題については様々なところで報じられており、本連載でも何回か取り上げてきた。
FTCがこれまで再三啓蒙し続けてきた、“広告であることの明確化”は、ある程度のところまで広まりつつあるようだ。その成果は、米Klear社が発表した調査結果を見てもわかる(編集部注:調査結果は個人情報の登録後に閲覧可能)。
同社がInstagram上における「#ad」というハッシュタグ付き投稿の定点観測をしたところ、該当する投稿数は毎月右肩上がりになっていた。2017年は2016年同月のほぼ約2倍にまで増加している。
だが、これはあくまでも「#ad」というハッシュタグを伴っている投稿数の集計でしかない。米国のインフルエンサーマーケティングの実情を反映したものとは言い難い。
米eMarketerは『Influencer Marketing 2018』というレポートで、広告であることの明確化について「ディスクロージャー」という言葉を使って取り上げている(編集部注:調査結果は個人情報の登録後に閲覧可能)。これを読む限り、宣伝行為であることを隠ぺいした情報発信(ステルスマーケティング)は、いまだに広く実行されている。
このレポートでは、米国および英国のインフルエンサーを対象に実施した調査も掲載している。これによると、「(インフルエンサーマーケティングに関連する)投稿の際に、常に「#ad」もしくは「#sponsored」といったハッシュタグを付けているインフルエンサーは、全体の半数程度(52%)である」という。さらに約4割(41%)は「求められれば付ける」としているが、「付けない」と回答したインフルエンサーも7%いるという。