米国企業のB2Bマーケティングは、マーケティングオートメーションの普及で、非常に進化しているというイメージがある。しかし実際には、まだ発展途上な部分も多々あるように思える。

 米Act-On社が2017年の4月から5月にかけて、主に米国と欧州合わせて350余りの企業のB2Bマーケターを対象に実施した調査結果を深く読み解いてみると、この1年ほどで「進んでいる企業」と「そうでない企業」の差が、より浮き彫りになってきたように見える。

 「進んでいる企業」と「そうでない企業」を分けるポイントは、実際に具体的なアクションを実行できているか否かであると言ってもいい。少なくともいずれの企業も「マーケティングオートメーションは、長期的に見て自社のビジネスにとって決定的に重要なものとなる」と回答している(98%なのでほぼ全員)。

 しかしここで、実際にどういう施策を実行しているかに両者の差が生まれている。端的に言えば「重要なので、しかるべきアクションを取る」企業と「重要だとは分かってはいるが、具体的なアクションに落とし込めていない」企業の違いだ。

 これは、「マーケティングオートメーションツールを導入している理由」と「主な活用方法」を見比べてみると、よりはっきりと見えてくる。

 企業がマーケティングオートメーションツールを導入する理由を、多い順から並べてみると、「質の高いリードの創出(66%)」、「売り上げの向上(49%)」、そして「営業部門とマーケティング部門の連携(44%)」、「多数のリード獲得(41%)」と続く。これらの目的に対して、具体的にどういうアプローチを取っているかを、「進んでいる企業」と「そうでない企業」に分けて見た時に、両社の違いが明確に浮き彫りとなる。

 大きな差となっているのは、「リードナーチャリング」や「リードスコアリング」、そして「ABM(Account Based Marketing = 対象となる企業を定義し、戦略的にアプローチする手法)」への活用や「リードリサイクリング(再リード化)」の部分である。

 「そうでない企業」の活用を見ると、主に「メール配信」や「フォーム作成」や「ランディングページ作成」といった、ツールの基本的な機能をそのまま使っているケースが非常に多い。もちろんこれらの機能は「進んでいる企業」でも非常に多く使っている。大きな違いは、「進んでいる企業」がこれら機能を、単に“利用”するのではなく、自分たちのビジネスに貢献するように“活用”しているところにあり、これこそが埋めがたい溝となっている。

 おそらく、これは日本企業にも当てはまることが多いだろう。いわゆる先進的な事例を残している企業は、単にツールを“利用”するだけではなく、自分たちのビジネスに合わせて“活用”している。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。