気が早いと思われるかもしれないが、米国では8月も終わりになると、あちこちで今年の“ホリデーシーズン(年末商戦)”についての話題が語られ始める。感覚的にはバック・トゥ・スクール・セール(毎年9月の新学期シーズン前に合わせたセール)が終わった後に、気が付いたらホリデーシーズンに突入しているといった感覚だ。

 この“セールの前倒し”は、近年どんどん加速している。米調査会社eMarketerが発表した、米国の2017年のホリデーシーズンに関わる流通小売業界のビジネス予測では、大きなトレンドの一つに「ホリデーシーズンの長期化」を挙げていた。クリスマスの12月25日という日付は絶対に変わらないので、セールを前倒しするほど結果的にホリデーシーズンは長期化していくということだ。

 その傾向は、前述のeMarketerの記事中に掲載していた調査結果にも表れている。この調査に「あなたはいつ頃からホリデーシーズンのショッピングに買うものを考え始めますか?」という質問がある。

 これに対する回答は、40%が「サイバーマンデー(11月第4木曜日の後の月曜日で、ECサイトの売り上げが最も増加する日といわれている)からクリスマスにかけて」としていた。そしてこれに続いたのが「Year round(通年)」という回答で、30%を集めていた。いわば“1年中ホリデーシーズン”と言う消費者がこれほどの規模も存在しているのだ。

 ホリデーシーズンの長期化は、デジタルによって消費者の購買行動が変化した結果であるとの指摘もある。消費者にとって、買うための情報は常に身の回りにあふれており、小売業界全体は買おうとしている消費者から少しでも早く売り上げを立てようと常に動いている状況だ。

 そして、2017年のホリデーシーズンでは、消費者の購買行動が、もう一つ大きく変化すると見られている。それが「バーチャルアシスタント」の活用だ。

 AI(人工知能)の技術を活用し、消費者の質問や要望に対して回答するバーチャルアシスタントを、2017年のホリデーシーズンを境に、消費者たちが盛んに活用していくだろうという予想が相次いでいる。
 
 ただしAIはまだ小売業界全体では、あまり活用されていない。2017年7月に、英Emarsys社が発表した『Building Trust and Confidence: AI Marketing Readiness in Retail and e-Commerce』という調査からも、その状況が分かる。

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