業務アプリケーション“次の一手”

誰がSOAを殺すのか

 「企業システムの変化対応力を高める現実解」との期待を集めるSOA(サービス指向アーキテクチャ)。日本ではその有効性を認めつつ,採用に二の足を踏む企業がいまだ大多数を占める。しかしSOAは世界的な趨勢。日本ならではのやり方で一歩目を踏み出すこともできる。景気後退が著しい今こそ,SOAがもたらすチャンスとメリットを自ら“殺す”のは禁物だ。

景気後退が著しい今こそ… 
ポイント(1)固定観念にとらわれるな 
ポイント(2)定石を踏まえる 
ポイント(3)とにかくやってみる 

システム延命で逆風を乗り切れ

 経費は一律20%カット、新規事業はゼロベースで見直し―。2カ月前の米リーマン・ブラザーズの 破綻に端を発した世界金融危機。急速に悪化した日本経済。生き残りを賭けたコスト削減目標がトップダウンで決まっていく。IT投資も例外ではない。だが交際費や交通費のようには、IT投資は削れない。保守切れに伴うハード/ソフトの買い替えやビジネス環境の変化に追随するためのシステム保守など、システムの維持とコスト削減の板挟みになり、多くのシステム部門が悲鳴を上げる。そうした中、システムの寿命を自らコントロールすることで、IT投資を削減する動きが出てきた。システムを「いつまで使うか」や「いつ捨てるか」を決めるのは、メーカーでも法律でもなく、ユーザー企業自身だ。

使いたいけど使えない 
賞味期限を見極める 
自己防衛でコントロール 
案件絞り込みでコスト削減 

東証、世界に挑む300億円プロジェクト

 2009年後半の稼働を目指す東京証券取引所の次世代システム「arrowhead」。システム障害を踏まえ、品質確保を最優先にプロジェクトは始まった。システム開発における発注者の役割を抜本的に見直し、要件定義と外部設計は従来の3倍の工数をかけた。実装フェーズが完了した今、プロジェクト責任者に具体的な取り組みを紹介してもらった。

品質向上は発注力の強化から 
機能要件は3階層で整理 
4000ページの記述様式をそろえる 
不良は試験を待たず設計で摘むべき 

XPの“次”はVistaか?

 マイクロソフトは3月19日、「Windows Vista サービスパック1(Vista SP1)」のダウンロード・サービスを開始した。4月以降、Vista SP1を搭載したパソコンも登場。そのVista SP1と入れ替わるように、企業のパソコンOSとして長きにわたり君臨してきたWindows XPは、6月で販売が打ち切られる。これを契機にマイクロソフトは、ユーザー企業にVista搭載パソコンの大量導入を促したい考えだ。

 一方、コンシューマ市場で出荷開始から1年が経過した今も、Vistaパソコンの販売が伸び悩んでいる。企業内でもVistaに関心を示さないユーザーが多数派。画面周りがXPから様変わりしたこともあり、Vista導入時のユーザー教育の負担はこれまで以上に大きい。「XPパソコンの販売終了=XPの寿命」ではない。無策でXPを捨てVistaに飛びつくと痛い目に遭う。シンクライアントやスマートフォンなどさまざまなクライアント端末の可能性も見えてきている中、次期クライアントへの最善の移行シナリオを探った。

第1回:行くに行けないVistaのジレンマ 
第2回:XPの寿命は6年先 
第3回:移行シナリオ(1)パソコンの継続はタイミング勝負 
第4回:移行シナリオ(2)2度おいしいシンクライアント 
第5回:移行シナリオ(3)パソコン以外の選択肢を試す 
第6回:XPの継続利用はますます面倒に 
第7回:Vistaを選んだ企業 飛ばした企業 

地銀 ---システム共同化の真実

 SaaSやクラウドコンピューティングなど、システムを持たずに使う動きが活発化している。だが普及はこれからだ。そうしたなか一足先に基幹システムを手放すことに成功した業界がある。地方銀行だ。全国108行(2008年10月14日時点)の8割近くが勘定系を共同化している。コスト削減効果はどの程度か。不自由はないのか。地銀を例にシステム共同化の真実に迫る。

知られざる先進業界「地銀」 
[維持コスト]3割減が相場、半減も 
[機能強化]中小は大手並み武装 
[意見対立]問題意識から共有 
[経年劣化]共通は聖域、個別には上限 
[IT部門弱体化]要員強化も共同で 

インテルが進めるSOA戦略

 米インテルが6年がかりで全社の基幹系システムの見直しを進めている。SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づき、変化に追従可能なシステムの実現を狙う。売上高4兆円、システム部員約5500人を抱える同社だが、実はデータやアプリケーションが各業務でバラバラという日本企業と同じ悩みを抱えていた。

抱える“悩み”は日本企業と同じ 

ICタグ導入に最後の賭け ---ウォルマート

 ICタグを主導してきた米ウォルマート・ストアーズが最後の賭けに出た。約600店を展開する会員制店舗において全商品へのICタグ張り付けを義務化し、対応しないと“罰金”を課すと宣言したのだ。納入業者の反発は必至である。納得できる成果が上がらなければ、不満が爆発しかねない。張り付け対象が増えてICタグの価格が下がるという好循環を作れるのか。その戦略を明らかにする。

第1回:「要請」から「強制」へ、失敗したら撤退か 
第2回:1%の売上増でコストを回収 
第3回:「盗難が多いからICタグ導入」はウソ 
第4回:航空、医薬品業界でも強制の兆し 

iPhone、企業へ

 米アップルのスマートフォン「iPhone」が企業に大きく舵を切る。社内メールとの連携など企業利用を意識した機能強化を近々実施。iPhone 向け業務ソフトの開発を可能にする開発キットも公開する。日本上陸の際には、企業にとっても新たな選択肢となりそうだ。

社内メールと連携しセキュリティも強化