経営とIT新潮流ランキング
(2009年1月1日~12月11日)
1位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第1回 役に立たない情報システムができる本当の理由
2位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第11回 多忙と徹夜を「喜ぶ」 最悪の“システム屋”
3位 【トップインタビュー~大淘汰時代を勝ち抜く】売り上げ半減でも利益の出る体質に変える
4位 【リコー遠藤副社長が指南!間違いだらけの業務改革】第2回 「大き過ぎる目標を立てて挫折する」
5位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第15回 「コンサルタントになりたい」という逃避願望
6位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第2回 “洞察”のきっかけになるシステムこそ競争力生む
7位 【リコー遠藤副社長が指南!間違いだらけの業務改革】第1回 「活動のリソースが無いからと諦める」
8位 【論語に学んで、ブレない経営を!】第1回 ブレない軸を持つことの重要性
9位 【失敗に学ぶ情報化のポイント】第31回 ワンマン社長を説得できず,開発が頓挫
10位 【失敗に学ぶ情報化のポイント】第37回 銀行出身役員の介入で,開発現場が混乱
11位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第25回 このままでは“システム屋”の給料は下がり続ける
12位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第5回 “システム屋”の「顧客第一主義」に潜む功罪
13位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第3回 様々な業界で常態化する“システム間格差”
14位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第20回 「1人月150万円」が「年収1800万円」ではない理由
15位 【諜報謀略講座 ~経営に活かすインテリジェンス~】第4講:古代日本の知恵袋、渡来氏族「秦氏」の摩訶不思議
16位 【危機だからこそ、前向きで楽しいコスト削減のススメ】第5回  何にでも使えるトヨタの思想
17位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第4回 システム屋にとって好都合な「IT人材不足」
18位 【トップインタビュー~大淘汰時代を勝ち抜く】売り上げ減を不景気のせいにしてはいけない、社内を探せば必ず改善の余地がある
19位 【ダメな“システム屋”にだまされるな】第27回 “35歳定年説”は、勉強で乗り越えられる
20位 【“抵抗勢力”とは、こう戦え!】第8回 社長との戦い方(前編) 小細工は不要、率直に意見を述べれば道は開ける

 2008年9月のリーマン・ショック以降、「百年に一度」という世界的な金融・経済危機のなかで厳しい経営を強いられている日本企業。最悪期は脱したものの、2010年前半には景気が「二番底」に落ち込むのではないかと懸念されている。こうした背景もあり、「経営とIT新潮流」サイトでは、あらためてIT経営の本質的な問題点を指摘するコラムや、厳しい経営環境を乗り切るうえで参考になる経営者のインタビュー、改革で失敗しないための気づきを与えるコラムなどがアクセスランキングの上位に入った。

 数あるコラムの中でも、突出して読まれたのが「ダメな“システム屋”にだまされるな!」だった。上位20位中、実に半分が同コラムがランクインするという人気振り。国内IT(情報技術)業界の本質的な問題を鋭く指摘している点が高く評価されたようだ。今や経営にITは欠かせない。しかし、経営者にとって情報システムは相変わらず難解でやっかいな存在だ。莫大(ばくだい)な投資にもかかわらず、必ずしもそれに見合う効果が期待できない場合があるからだ。

 IT経営で失敗しないためには、情報システムの構築にかかわる“システム屋”と呼ばれる外部のITベンダーやシステム・インテグレーターに所属するシステム・エンジニア(SE)、営業担当者・責任者、社内のシステム企画担当者、プロジェクト・マネジャーなどの実態を把握しておく必要がある。日本企業の多くが、業績悪化によってIT投資が削減され、失敗が許されない状況にあるだけに、同コラムが高い関心を集めたとみられる。ちなみに最も読まれたのは、第1回「役に立たない情報システムができる本当の理由」である。

 反響が大きかったこともあり、同コラムは加筆・修正して単行本にした。単行本化するにあたって新たに、ダメな“システム屋”を見抜くポイントと対処法、若手“システム屋”による座談会の記事を盛り込んだ。

経営者へのインタビューに学ぶ

 インタビュー記事では、キヤノン電子・酒巻久社長の「トップインタビュー~大淘汰時代を勝ち抜く」が最高の3位に入った。「売り上げ半減でも利益の出る体質に変える」というタイトル通り、経験したことがない厳しい経営環境にあっても必ず利益を出すという酒巻社長の経営者魂に、読者の関心が集まった。徹底したコスト削減を早め早めに手掛ける酒巻社長の手際の良さに感心した読者は多いのでないだろうか。

 インタビューものではほかに、日本マクドナルド・原田泳幸・代表取締役会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)の「トップインタビュー~大淘汰時代を勝ち抜く」が18位に入った。タイトルは「売り上げ減を不景気のせいにしてはいけない、社内を探せば必ず改善の余地がある」。業績が低迷していた日本マクドナルドを立て直した原田社長から、激動時代を乗り越えるうえで必要な経営者の要諦を学びたいという読者が多かったようだ。

副社長が指南する解説記事

 4位には、「リコー遠藤副社長が指南!間違いだらけの業務改革」の第2回「大き過ぎる目標を立てて挫折する」が入った。このコラムは、月刊ビジネス誌『日経情報ストラテジー』で好評だったリコーの遠藤紘一・取締役 副社長執行役員による連載を再録したもの。業務改革で陥りがちな「落とし穴」を明解に解説している点が、読者の関心を呼んだ。

 同コラムの第1回「活動のリソースが無いからと諦める」は7位に入った。業務改革の原資を自ら生み出すという遠藤副社長のやり方は、新規投資の抑制圧力が強いこの時期だけに、コスト削減に躍起になっている経営陣にとってありがたい話だ。

 8位は、「『論語』に学んで、ブレない経営を!」の第1回「ブレない軸を持つことの重要性」。業績低迷が続くと、経営者はどうしても自信を失い、経営の軸がブレていくものだ。経営者が一度ブレ出すと、従業員が不安になり、場合によっては組織が崩壊しかねない。今こそブレない軸をしっかり持つことが重要だと説く筆者の考え方に共感した読者は多いだろう。松下幸之助をはじめ、名経営者と呼ばれる人たちは『論語』に学んだという。筆者は『論語』を25文字に分解。このコラムは毎回、25文字から1文字を選んで、その文字を基に経営にとって必要な知見を解説するというユニークな経営指南書ともいえる。

 9位と10位はそれぞれ、「失敗に学ぶ情報化のポイント」の第31回「ワンマン社長を説得できず、開発が頓挫」第37回「銀行出身役員の介入で、開発現場が混乱」。このコラムは、日経コンピュータの人気連載を再録したものだが、失敗から学べることは実に多い。とりわけ情報システムで失敗すると多額の損害が発生するので、できれば失敗は避けたい。そのため、過去の失敗事例から失敗しないポイントを見つけたいと考えている読者は多く、同コラムをそのニーズに応えたといえる。

 以下、15位に「諜報謀略講座~経営に活かすインテリジェンス」の第4講「古代日本の知恵袋、渡来氏族「秦氏」の摩訶不思議」、16位に「危機だからこそ、前向きで楽しいコスト削減のススメ」の第5回「何にでも使えるトヨタの思想」、20位に「“抵抗勢力”とは、こう戦え!」の第8回「社長との戦い方(前編) 小細工は不要、率直に意見を述べれば道は開ける」が滑り込んだ。