なぜ今、論語なのか?

 2008年9月のリーマン・ショック以来、6割経済、5割経済ともいわれるように、急降下を遂げた世界経済。「100年に一度」といわれる未曾有(みぞう)の不況が押し寄せて来ました。思い起こせば、まさに想定外の世界同時不況という大暴風雨の中に、自動車産業などの輸出産業を牽引車とした日本経済全体が、アクセルを吹かしながら突如飛び込んで行ってしまった状況です。

 そして現在は、いつ暴風雨が去って晴れ間がのぞくのか、自身が航海している位置や方向すらも、そしてどう進んだらよいのかも定かには分かっていません。航海の羅針盤を失い、いわば“漂流”状態にあるというのが、1つの時代認識ではないでしょうか。

 そのような時代にあって、我々ビジネスパーソンは、どのように時代と向き合っていったらよいのでしょうか。

 「治にいて乱を忘れず」とは古来からの名言ですが、単なる不況を通り越して「乱」となってしまった以上、どのように乗り越えて行ったらよいのでしょうか。

 1つは、大企業・中小企業を問わず、それぞれの企業独自の「不況を味方にする」「困難を味方にする」「ピンチをチャンスにする」という考え方でしょう。

 大多数の日本企業の大幅な減収減益が伝えられるなか、ファーストリテイリングや日本マクドナルド、ニトリ、永谷園、任天堂、ハウス食品、東洋水産、日清食品といった企業に関しては、好調が伝えられています。この機にあっても、過去最高益を更新している企業もあります。地方でも、A-Zスーパーセンターを展開する鹿児島県のマキオや、高知のサンシャインチェーン本部などは勢いがあるといわれています。

 逆境にあっても、いくらでもやりようはあるはずです。見方によっては、今こそ、消費者のニーズを的確に捉えることで飛躍できる絶好のチャンスです。そのためにも、たとえ、いかなる状況であっても、いたずらに憂えることなく臆することなく、3年後、5年後を見据えて、チャンスに変えるべく、力強く歩んで行きたいものです。