米Allied Business Intelligence(ABI)が米国時間6月21日に,広帯域接続市場におけるケーブル・モデムとDSLの競合状況に関する分析・予測を発表した。

 ABI社によれば,2001年のケーブル・モデム接続市場は75億ドル規模となる見込み。2006年には222億ドル規模へと5年間で3倍に拡大するという。加入者数も2001年の1420万から4870万へと大きく伸びると予測している。

 一方のDSL接続市場については,「ケーブル・モデムに追いつこうと,供給やインフラ共有などといった課題への取り組みを進めている。これに合わせて,DSL市場における企業間の再編の動きもさらに活発になる。DSLは今後も広帯域市場における主要技術としてシェアを維持していくが,競合のケーブル・モデムもユーザーをがっちりとつかんでいく」(ABI社Broadband AnalystのMark M. Fox氏)と説明する。

 ABI社は,ケーブル・モデム接続の利点として,「光ファイバーと同軸ケーブルのハイブリッド・システムを利用することでデータ伝送能力を電話線の数百倍に引き上げることも可能。技術的な面でDSLを上回っている。またネットワークが共有できるなどコストの点でもメリットが大きい」(ABI社)ことを挙げている。

 DSL接続に関しては,旧Bell系の地域電話会社が地域通信事業者(LEC:local exchange carriers)にネットワークの開放を渋っているという問題をはじめ,DSLプロバイダ企業の倒産や不振,利用料金の相次ぐ値上げ,さらに2001年における導入状況が2000年時点に予測したほど伸びていないことなどといった点を指摘する。しかし,ISDNと比べればコストも低いため,アジア太平洋地域などCATVのインフラが整っていない地域で成長が見込める,としている。

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