米Cahners In-Statが米国時間2月14日に,DSLアクセス多重化装置(DSLAM:DSL Access Multiplexer)市場に関する調査結果を発表した。
DSLAMは,複数のxDSL回線を収容し,データを多重化してルーターなどへ出力する装置である。通信事業者が局内に設置する。
「DSLAM市場がxDSLサービスを牽引する。サービス・プロバイダは様々な種類のサービスの提供に対応可能となるほか,付加価値サービスなども提供できる」(In-Stat社Advanced Carrier Strategies Service部門上級アナリストのErnie Bergstrom氏)。
In-Stat社はDSLAMベンダーが現在直面している課題として,「技術革新」と「サービス・プロバイダの需要への対応力」を挙げる。
またxDSLを介した音声通信「VoDSL(Voice over DSL)」が,今後DSL市場でのキラー・アプリケーションとなる潜在能力を秘めていると指摘する。VoDSL市場の拡大を促すカギとして,In-Stat社は以下の点を挙げている。
・DSLAMとボイス・ゲートウエイ機器の相互運用性
・VoDSLサービスは既存の音声サービスと同等以上の質を備える必要がある。現段階でのVoDSL通信には音声データの受信に「ディレイ」があるため,ほぼリアルタイムで音声がやりとりできる従来の音声通信に比べて劣っている。トラフィックの優先処理などを施すべき。
In-Stat社は,「こうした点が克服できれば,市場は2001年第3四半期に大きく拡大し始め,2004年までに米国におけるVoDSL回線は1000万を超える」と予測する。In-Stat社によるその他の調査結果は以下の通り。
・2000年第3四半期時点のADSL DSLAM市場は,米Alcatelが53.2%のシェアを獲得して圧倒的首位に立つ。これを米Cisco Systemsが13.1%で追っている。
・全体の60%の回答者が「複数の種類の通信サービスを利用するとしても,一つのプロバイダ企業が一括して提供するサービスを利用したい」と希望している。プロバイダは,価格を抑えることと複数サービスの課金を一つにまとめることで,多くのユーザーを取り込むことができる。
・サービス・プロバイダはDSLAMベンダーに1台の機器で対応可能な回線数を増やす高密度実装を求めている。よって,1台のDSLAM装置が処理するユーザー数は増えることになる。
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