BtoBマーケティングや営業活動でよく用いられる「ユーザー事例」。商品・サービスを利用している企業の姿を具体的に示すことで、顧客を安心させたり判断を後押ししたりする効果があります。ところが、ユーザー事例を効果的に活用できている企業は、意外と少ないものです。
これまで1300件以上の事例企画・作成を手がけたカスタマワイズの村中明彦氏が、事例マーケティングの極意を解説します。
BtoBマーケティングや営業活動でよく用いられる「ユーザー事例」。商品・サービスを利用している企業の姿を具体的に示すことで、顧客を安心させたり判断を後押ししたりする効果があります。ところが、ユーザー事例を効果的に活用できている企業は、意外と少ないものです。
これまで1300件以上の事例企画・作成を手がけたカスタマワイズの村中明彦氏が、事例マーケティングの極意を解説します。
40回にわたり連載してきた「事例こそ最強のBtoBマーケティングである」は今回で終了です。事例は、顧客視点で「商品の導入メリット」を書く場といえます。そこで商品の導入メリットについて分類してみます。
前回は、「ハードウエアは売るものが目に見えて性能のスペック表現も可能だ。ならば事例は必要ないかも?」という問題を提起しました。しかし現実には、「目に見える・説明しやすい・値段も分かりやすい」という製造業界でもやはり事例は必要なのです。今回はその理由を考察します。
事例という販促手段には、どんなタイプの商品に向いているのでしょうか。今回の記事ではそれをソフトウエアとハードウエアを題材に考えてみます。導入事例という販促媒体が向いているのは、一般に「目に見えず、説明しにくいので(価格が)高い」と思われやすい商品、いわゆる無形財です。
通常の会話というのは、少しぐらい内容に矛盾があったとしても、相手が気持ちよく話していて雰囲気とノリさえ良好ならそれでOKにするのが普通です。しかし導入事例のインタビューは「後で文章を書くための材料集め」が目的なので、そうはいきません。
事例インタビューで取材をするときに、取材先となる顧客にどんな質問をどんな順番で聞いていくのがいいか悩んだことはありませんか。筆者の考えでは、起こった出来事を起こった順番に質問していく時系列の質問法が最強です。時系列の質問なら、聞かれたほうも思い出しやすく答えやすいからです。
事例のビジュアルの中心はお客様の写真です。以前の記事でも写真の撮り方について触れましたが、今回は別の視点から「お客様写真を上手に撮るためのコツ」についてお話しします。写真を撮られるのは誰だって嫌なもの。この前提に立って取るべき行動はただ一つ。撮影はできるだけテキパキ早く終わらせ、被写体の苦痛の時間…
「定義やそもそも論は一見、役に立たないようで実はおそろしく役に立つ」というのが筆者の考えです。何か迷いが生じたとき、定義に立ち戻れば思考がクリアになり、解決策が見えます。今回は「事例はどんな性質でどんな制限のある販促物なのか」を説明します。
今回は、事例コンテンツのタイトルのあり方について考察します。事例記事のタイトルの役割は、読者(見込み客)に、その後の本文に何が書いてあるか「話の地図」を示すことです。重要なのは「本文内容を的確に要約し、読者(見込み客)が、この話は自分に関係あるか判断する材料を提供すること」です。インパクトや感性は…
企業が情報発信する場合にユーザー事例が最も優秀と考える七つの理由のうち最後の四つを解説します。具体的には、3.売りにつながる具体性がある、4.自社製品が主役のコンテンツである、5.真剣な見込み客だけに絞り込む機能がある、6.情報の希少性がある(他では読めない)、7.どんな会社、業種、商品でも作れる…
事例は「一次情報なので内容の信憑性を担保できる」という特徴を持ちます。このため「発信するコンテンツの責任の在り処を明らかにするために、社内の技術部にインタビューして原稿を書けばよい」のですが、技術部はそういう仕事には協力したがらないのも事実です。私は取材を拒否する技術部担当者の気持ちがよく分かりま…
いよいよ情報発信パターンの8番目「ユーザー事例」について記します。マーケティングオートメーション(MA)では案件を育成するため、顧客に向けて定期的な情報発信を継続しなくてはなりません。「案件育成には情報発信が必要」という原則は普遍的といえます。今後5年、10年先に現在のMAに代わる新しいツールが出…
前回の記事では、BtoB企業が見込み客に情報提供する場合のコンテンツは次の8種類に大別できると書きました。今回は、4~7を解説します。「最新情報コンテンツ」とは名前の通り、その分野の最新情報を提供するものです。「○○最前線」「○○最新レポート」といったタイトルが付くスタイルになります。
今回以降は、MAを活用したリードナーチャリングを実践するうえで、どんなコンテンツを投入していけばよいのかについて考察していきます。BtoB企業が見込み客に向けて情報コンテンツを提供する場合、下記の8種類に大別できます。そこでこれから、MAとリードナーチャリングで提供するコンテンツの8種類について一…
BtoBの分野で、見込み客を購買顧客に変える仕組み、「マーケティングオートメーション(MA)が数年前から話題になっています。今回の原稿では、このマーケティングオートメーションとユーザー事例の関係について考えてみます。
前回の記事では、「事例インタビューでは『事実』を聞き出すのが重要」と解説した後、以下の例題を出しました。「昨日は何を食べましたか?」と聞いて、これに「パスタを食べました」という答えが返ってきた場合、次に何を質問するべきかというものでした。
「事例取材のインタビューでは、相手がポロリと本音を漏らすような、”引き出すインタビュー力”が大事なんですよね」――。そう言われることがよくあります。その場では「そうですね、情報を引き出すのは重要なことです」と答えていますが、実は取材の現場で「隠している本音を引き出そう」と思って努力することはほぼあ…
企業向け事例制作手法を伝授するセミナーで話をするとき、筆者が決まって受講者から受ける質問があります。「弊社は、お客様の大半が○○業界で、そこでは独特の考え方があります。事例出演を依頼をしてもたいてい断られます。どうすればよいですか」というものです。つまり、「ウチの業界は特殊なんだ。だからあなたが言…
前回、「事例出演の可否を決めるのは、相手企業の担当者ではなく、担当者の直属上司や広報部である。事例出演依頼では、必ず文書が必要になる」と書きました。会ったこともない人に読ませるものである以上、営業「トーク」は通用しません。では具体的に依頼文書には何をどう書けばよいのでしょうか。今回はこの書き方と注…
「事例出演依頼は、相手企業の担当者とリレーションが深い、つまりツーカーの営業担当者が直談判のコミュニケーションで頼まないとダメだ」という考え方に間違いがあると話しました。そしてこの文章には、もう一点間違いがあります。それは、そもそも事例に出演していいかを決めるのは、相手企業の「担当者」ではないとい…
導入事例と、それ以外の広告媒体---例えばパンフレットや会社案内、ホームページ、展示会、リスティング広告との違いとはいったい何でしょうか。それは「通常の広告は予算さえあればできる。しかし事例はそうはいかない」ということです。事例のアポ取りはあなたの会社のだれかが自力でやるほかありませんが、この作業…
導入事例で写真が重要であることは本連載の18話で述べました。写真はコンテンツの「つかみ」だからです。では事例制作で生計を立てている筆者が、写真の腕を磨くために日夜、猛練習を重ねているのかというと、そういうことはしていません。もちろん写真を良くするための活動はしています。ただそれは正確にいうと「練習…
導入事例ではビフォア・アフターを書くべきだとよく言われます。しかし、それだけでは見込み客が最も関心を持つ「ある情報」が伝えられません。その重要な情報とは何でしょうか。前回同様、新人事例制作者とベテラン制作者との架空対談という形でお届けします。
導入事例では文章と同じか、あるいはそれ以上に写真が重要な意味を持ちます。そこで今回は「効果の高い事例写真を簡単に撮るにはどうすればよいか」というテーマで考察しました。今回は事例の写真構図の基本形となる「フロンタル構図」について、新人事例制作者とベテラン制作者との架空対談でお届けします。
キャッチコピーは事例の中で最初に目に入る重要な箇所です。今回は、これまで2回にわたって説明した「インパクトあるキャッチコピーを考えようとするのは無意味である」の結論として、読者を振り向かせるための「秘策」を伝授します。
キャッチコピーは事例の中でいちばん最初に目に入る重要な箇所です。今回は、前回掲載した事例記事に「インパクトあるキャッチコピー」を付けようとするのは無意味であるの続編として、引き続き新人事例制作者とベテラン制作者との架空対談をお届けします。今回はインパクトで相手を驚かせるのではなく、相手の属性を呼び…
キャッチコピーは事例の中でいちばん最初に目に入る重要な箇所にあります。今回は、良いキャッチコピーを産み出すための「考え方」について、新人事例制作者とベテラン制作者との架空対談という形でお届けします。
マーケティングに活用する事例記事を執筆するという仕事柄、筆者はクライアント企業のトップ営業部員に会うことがよくあります。今回は、何人ものトップ営業部員から聞いた「事例の上手い使い方、NGな使い方」を基に、新人販促担当者とトップ営業との架空対談を仕立ててみました。Qが新人販促担当者でAがトップ営業部…
人は他人に決めつけられることを非常に嫌い、それには強く反発します。「軽く決めつける」という質問法はこの反発心を逆利用するものです。もちろん「軽く」というところがポイントで、強く決めつけたのでは反感を買って終わりです。ではどうやれば「軽く」決めつけることができるのでしょうか。それには「復唱・確認」と…
筆者はユーザー事例の制作会社を経営しています。あるとき営業コンサルティングのA社から、自社の顧客であるB社に取材して、事例を制作してほしいという依頼が来ました。ところがA社から、クレームがとどきます。総合的な経営コンサルティング企業に生まれ変わろうとしているのに、この事例には営業コンサルティングの…
「事例のキャッチコピーは数字を入れるべきである」――。事例原稿を執筆するときに、よく言われるアドバイスです。こうした助言はもちろん正しいもので、数字がないよりはある方がよいに決まっています。しかし「数値表現しておけば、それだけで万事OK」とはなりません。もっと突っ込んで言えば「数値表現しただけでは…
マーケティング部が持つべき知識としては「自社の製品知識」「競合知識」「一般市場知識」「自社の顧客知識」、そして「一般マーケティング理論」が挙げられます。ではこの中で最も有効なものは何か。言い換えるならば、「その2割さえ押さえれば、全体の8割がカバーできる」という、“パレートの法則”のような有効性を…
~「背景・課題・導入効果」という構成の欠点
マーケティングの世界でよく使われる「最適化」、あるいは「全体最適」というこの言葉、いささか過大評価されすぎではないかというのが筆者の考えです。事例制作の世界で、これは最適化のやりすぎではないか、つまり「ベース無しのいきなりガチガチ・チューンアップではないか」と筆者が常々思っていることがあります。そ…
導入事例のインタビューでは、取材先にリラックスしてもらうことが必要です。しかし、実はそれだけでは取材先から「話を引き出す」ことはできません。では、どうやれば取材先から「他人に読ませるに値する情報」を引き出せるでしょうか。筆者は、それには質問するときに「軽く圧をかける」のが良いと考えています。例えば…
前回は、「10年に一度の期待の新技術、SDN(Software Defined Network、ソフトウエア定義ネットワーク)」の販促をどうすればいいか、という考察をして、SDNの商品特性を分析しました。今回はユーザー事例の中でSDNの導入効果について、どのような記述、あるい定式化が可能なのか、考…
ビジネスの事例研究(CASE STUDY)には「過去の事例の分析」のほかに、「一般理論を、現実の企業や製品に当てはめてシミュレーションする」という意味もあります。今回は、実際の商品を基に事例研究をシミュレーションしてみます。題材にするのは、ソフトウエア定義ネットワーク(Software Defin…
IT製品の事例を書くときは、「導入効果」を詳しく書くことが重要といわれています。そこで今回は「IT製品の導入効果とは、つまり何なのか」を、製品の種別にとらわれず、普遍的に把握してみたいと思います。いったん根本原理を理解してしまえば、あなたの製品が何であろうとも、導入効果が迷わず記述できるので便利で…
法人向け(BtoB)ビジネスの営業やマーケティングでは、ユーザー事例がよく用いられます。特にIT分野の商材(ソフトウエアやITサービスなど)は形が見えにくく、特徴も伝えにくいため、顧客を安心させたり説得する材料としてユーザー事例が活用されています。今回は特別編として、ユーザー事例作成のポイントをQ…
前回、筆者が実際にクライアントの事例を制作する中で、この「架空のニーズと、真のニーズ」「本当の使い道と、ありえない使い道」の隔たりを痛感させられる経験をしたことがあります、と書きました。今回はその具体的な例を解説します。
マーケティングでは「顧客ニーズをつかむことが重要だ」、ソリューション営業では「いきなり商品を売り込むのではなく、まず“お客様のお困りごと”を聞かなければいけない」などとよく言われます。しかしここで問題になるのは、自社の商品がその顧客ニーズやお困りごとの解決に役に立たない場合に、どうすればよいかです…
販促物は、自社商品の差異化、つまり「ウチの商品は他より良い!」と伝えるために作るものです。それを読む見込み客の立場からすれば、「この商品の優位点」、つまり「アンタの商品、他と何が違うわけ?」という情報を得るために読むものです。にもかかわらずユーザー事例が、どんな社名・商品名でも成り立つような一般的…
「ソリューション」「コンサルティング」「サービス」のような、目に見えず、表面スペックでよしあしが測りづらく、その割に値段が高い商品は形がなく、「よく分からない」「怪しい」と思われやすいので初期の信頼獲得が難しくなります。このハンデを覆すためのマーケティング手法、それが「既存顧客での導入事実を記した…
BtoBマーケティングや営業活動でよく用いられる「ユーザー事例」。商品・サービスを利用している企業の姿を具体的に示すことで、顧客を安心させたり判断を後押ししたりする効果があります。ところが、ユーザー事例を効果的に活用できている企業は、意外と少ないものです。事例のパンフレットを作ってみたものの、今ひ…