話題を集めたのは, Ubuntu, Ruby, OpenOffice.org, Firefox, 低価格ノートPC---ITproのオープンソース/Linuxテーマのニュースのアクセスランキングから明らかになった,2008年の傾向だ。
デスクトップLinuxはUbuntu
ITproでは2008年に公開されたオープンソース/LinuxテーマのニュースのアクセスランキングTop20を集計した。1位となったのは,Ubuntu 8.04 LTS 日本語版Desktopが正式にリリースされたニュースだ。
Ubuntuは英Canonicalが支援しているLinuxディストリビューション。GUIで多くの設定ができるユーザー・インタフェースと,洗練されたデザインが特徴だ。Ubuntuについては12位にも「デスクトップ版とサーバー版の違いを探る」という記事がランクインしている。後述する低価格ミニノートPCでも,採用されているLinuxはほとんどがUbuntuかUbuntuをベースにしたものだ。
島根県のRuby CMSがOSSに
2位は島根県公式ホームページのコンテンツ管理システム「島根県CMS」がオープンソース・ソフトウエアとして公開されたニュースだ。島根県は,同県の松江市にRubyの作者まつもとゆきひろ氏が在住していることから,Rubyによる地域振興に力を入れている。島根県では2006年に同県のホームページをRubyで構築。その際に開発したのが島根県CMSである。開発を担当したのはまつもと氏がフェローとして在籍する地元企業,ネットワーク応用通信研究所だ。
日本でもLinux版ミニノート発売
3位には低価格ミニノートPC「Eee PC」のニュース。2008年パソコン界の話題はEee PCを初めとするミニノートPCが独占したといっても過言ではないだろう。そして海外ではこれら低価格ノートPCのOSはWindowsとLinuxが両立した。低価格機ではOSのライセンス料が目立ってくるため,Linuxは有力な選択肢である。
日本ではEee PCはWindows版のみが発売された。日本ではLinux版の数量が見込めない反面,ユーザー・サポートのための人員やコストが必要になることが理由とされる。しかし,デルはミニノート「Inspiron Mini 9」でLinuxディストリビューションであるUbuntuを選択可能にした。
ミニノートPC関連のニュースは,このほかにも4位と7位,18位にCloudBookの記事,14位にHPのノートPCの記事,16位にEee PCの記事がランクインしている。
OpenOffice.orgでコスト削減
8位と9位には,住友電気工業と会津若松市がOpenOffice.orgを導入したことに関する記事が続いた。
住友電気工業は社内の基幹システムで数百台のLinuxサーバーを利用,ミドルウエアでもPostgreSQL,Tomcat,Xenなどオープンソース・ソフトウエアを採用しコスト削減などの効果を上げている。クライアントでもOpenOffice.orgを正式に標準ソフトウエアとして認定した。
会津若松市は市庁舎のパソコンのオフィス・ソフトをOpenOffice.orgに移行する方針を発表しており,新しく購入したパソコン240台にはOpenOffice.orgのみを導入している。5年で1500万円のコスト削減を見込んでいるという。
Firefoxが世界記録を達成
11位と13位にはFirefox3のニュースがランクインした。Firefox3は公開日の1日で何件ダウンロードされるかという記録に挑戦するイベントを実施。結果は24時間で800万件以上のダウンロードとなり,ギネスブックに世界記録として認定された。