写真1 Fedora 9 アルファ版のインストーラを起動したところ。Fedora 9 アルファ版のインストーラはテキスト・モードのみ。また,X Window Systemも起動しない。
写真1 Fedora 9 アルファ版のインストーラを起動したところ。Fedora 9 アルファ版のインストーラはテキスト・モードのみ。また,X Window Systemも起動しない。
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写真2 新パッケージ管理ツール「PackageKit」の一画面。
写真2 新パッケージ管理ツール「PackageKit」の一画面。
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 Fedora Projectは2008年2月5日(米国時間),人気のLinuxディストリビューション「Fedora」の次期バージョンである「Fedora 9」のアルファ版(開発初期段階のバージョン,写真1)を公開した。3月18日にベータ版,4月29日に最終版を公開する予定。

 Fedora 9の代表的な新機能は,(1)次世代ファイル・システム「ext4」への対応,(2)インストール時のパーティション・リサイズ機能,(3)パッケージ管理システム「PackageKit」,(4)仮想化ソフト「Xen」の paravirt_ops機能――など。

 ext4形式のファイル・システムは,Linux用の次世代ファイル・システムの「大本命」といわれている。ファイル・システム全体のサイズが,ext3の16T(テラ)バイトから,一気に100万Tバイトにアップするのに加え,一つのファイル・サイズの上限も,2Tバイトから16Tバイトに拡大する。ファイル・システムのチェックと修復を行うfsckの処理も高速になる(詳しくは,日経Linux3月号特集「ファイル・システムまる分かり」を参照)。

 Fedora 9の新機能の中でも,特に注目に値するのは,「パーティション・リサイズ」だろう。これは,Fedoraインストール時にディスクのパーティション・サイズを動的に変更できる機能である。最新版のFedora 8を含め,これまでのFedoraはインストール時にパーティションのサイズを変更することはできなかった。

 例えば,Windowsマシンの「空いた領域」にFedoraを導入し,起動時にOSを選ぶという典型的なデュアル・ブートの使い方では,別のパーティション操作ソフトを使ってあらかじめパーティションを“空ける”操作が必要だった。一方,「Windowsユーザーにやさしい」,「初心者にやさしい」と言われ,最近急速にユーザーを増やしつつあるLinuxディストリビューション「Ubuntu」では,インストール時に動的にパーティション・サイズを変更可能である。

 Fedora 9では,Ext2およびExt3の各ファイル・システム,Windowsのファイル・システム「NTFS」のパーティションを,導入時にリサイズできるようになる。Fedora Project自身が同プロジェクトのWikiサイトで「インストール時にFedora用にまっさらのディスクを用意できるパワー・ユーザーしか考えていなかった。(新機能により)Windowsしか使ったことがないユーザーのために,導入時のハードルを下げる」としている。

 (3)の「PackageKit」は,新タイプのパッケージ管理ツール(写真2)である。「yum」や「rpm」などを内部的に使用,テキストおよびGUIベースで動作する。Fedora7や8でも採用されている「pup」や「pirut」などとは基本的に似た作りになると思われる。ディストリビューションごとに異なるGUIベースのパッケージ管理ツールを統合する狙いがある。

 (4)のparavirt_ops対応は,仮想化ソフト「Xen」に関係する機能強化。paravirt-opsとは,ゲストOSと仮想化ソフトとの間のインタフェース仕様の一つ。これまでXenを準仮想化モードで使うには,ゲストOS上のカーネルが発行する一部のCPU命令を安全な命令に変換した「Xen専用のカーネル」を別途用意する必要があった。paravirt-opsに対応したカーネルを使えば,Xen専用カーネルは不要。つまり,Fedora 9を修正することなくそのまま,準仮想化のゲストOSとして使える。