写真1●最新版ディストリビューションの「KNOPPIX 5.3.1日本語版」
写真1●最新版ディストリビューションの「KNOPPIX 5.3.1日本語版」
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写真2●統合デスクトップ環境の「KDE 4」
写真2●統合デスクトップ環境の「KDE 4」
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 独立行政法人 産業技術総合研究所は2008年4月14日,ライブ形式のLinuxディストリビューションである「KNOPPIX 5.3.1DVD日本語版(LCAT対応)」(以下,KNOPPIX 5.3.1日本語版)をリリースした(写真1)。

 KNOPPIXはドイツのKlaus Knopper氏がDebian GNU/Linuxをベースに開発したディストリビューションである。もともとCDやDVDなどの光メディアから直接Linuxを起動できるのが特徴だった。

 最新版となるKNOPPIX 5.3.1は,Debian GNU/Linuxの次期版となる「lenny」をベースに開発。カーネルには2.6.24.4,統合デスクトップ環境には「KDE 3.5.9」を採用している。新版の「KDE 4.0.1」も搭載されており,KNOPPIXの起動(ブート)画面で「knoppix desktop=kde4」と入力することでKDE 4を試すことが可能だ(写真2)。さらに,グラフィックス・カードのアクセラレーション機能を利用したウィンドウマネージャの「Compiz Fusion」も搭載する。

 このほか,オフィス・スイートの「OpenOffice.org 2.3.1」や仮想化環境アプリケーションの「VirtualBox OSE」,音声読み上げなどといったユーザーの支援を行うアプリケーションの「ADRIANE Audio-Desktop」や「Orca」を搭載する。

 今回,産業技術総合研究所からリリースされたKNOPPIX 5.3.1日本語版は,2008年3月26日にリリースされたオリジナルのKNOPPIX 5.3.1を日本語化し,独自のアプリケーションを追加搭載して提供している。例えば,WindowsのパーティションにKNOPPIXのイメージを保存してハード・ディスクからKNOPPIXを起動できるようにする「install2win」や,Windows上でKNOPPIXを動作できる仮想環境の「QEMU」を搭載する。

 また,メディアに記録するファイルの配置を最適化する「LCAT(Live CD Acceleration Tool kit)」によって,KNOPPIXの起動の高速化が施されている。デスクトップ環境が起動するまでの時間(ブートが面からX Window System,KDE 3,Compiz Fusionのすべてが起動完了するまでの時間)は,オリジナルのKNOPPIX 5.3.1が3分かかるのに対し,KNOPPIX 5.3.1日本語版は2分10秒で起動が完了する(CPUがCore 2 Duo 1.4GHz,1.5Gバイトのメイン・メモリーを搭載したマシンで起動した際の例)。

 なお,今回のバージョンはDVD用イメージのみ公開されており,サイズはおよそ4.4GB。CD用イメージは公開していない。