米AMDは米国時間8月9日,「AMD64」アーキテクチャの全プロセサで,Windows XP Service Pack 2(SP2)と組み合わせてウイルスやワームによる攻撃を防ぐ技術「Enhanced Virus Protection(EVP)」が利用できると発表した。デスクトップ/ノート・パソコン用のAMD Athlon 64プロセサのほか,ゲーマー/マニア向けの「AMD Athlon 64 FX-53」プロセサ,AMD64アーキテクチャ・ベースの32ビット・プロセサ「Mobile AMD Sempron」,サーバー用プロセサ「AMD Opteron」がEVPに対応する。

 EVPは,AMD64アーキテクチャのプロセサに組み込まれる,ハードウエアによるセキュリティ機能。Windows XP SP2のセキュリティ技術「Data Execution Prevention」と連携し,バッファ・オーバフロー(バッファ・オーバラン)を悪用するウイルス/ワームを無力化し,複製やほかのシステムへの感染を防ぐ。

 バッファ・オーバフローとは,アプリケーションのデータ格納用メモリー領域(バッファ)に想定を超えるサイズのデータを書き込み,データあふれを故意に起こす手法。バッファからあふれてデータ保存用メモリー(データ領域)に書き込まれたデータはプログラムとして実行可能な状態になることがあり,ウイルス/ワームはこれを踏み台にして活動する。

 「セキュリティ技術をハードウエアに組み込むことで,ウイルス攻撃によるコストと被害を大幅に低減すると同時に,家庭/企業ネットワークの保全性を向上できる」(AMD社)

 Athlon 64,Athlon 64 FX-53,Mobile AMD SempronでEVPを有効にするには,Windows XP SP2 with Advanced Securityを適用する。同SP2は,現在のところ製造段階(RTM:release to manufacturing)にある。Opteronの場合は,2004年後半リリース予定のMicrosoft Windows Server 2003 Service Pack 1(関連記事)とWindows Server 2003 for 64-bit Extended Systemsが必要。

 なおData Execution Prevention技術については,米Transmetaが将来版「Efficeon」で,台湾VIA Technologiesが「C5J」で,それぞれ対応を表明している。

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