米Microsoftは,「Windows Server 2003」用のアクセス管理ツール「Windows Rights Management Services(RMS)」の一般向けリリースを発表した。企業や組織における,貴重なデジタル情報の不正使用防止を支援する。

 Windows RMSを利用することにより,情報担当者は,社内で配信する情報の使用,変更,出力,転送を許可される人物や,情報の有効期限を設定することが可能。「ドキュメントごとに保護するため,リスクを減らしつつ,より広範囲で情報を共有できる」(Microsoft社)

 Windows RMSは,多くの機密情報を扱う大企業の人事部や財務部,法務部のほか,中規模企業や,金融,法律,行政,医療分野の組織用。例えば医療関連企業では,カルテ,研究開発プラン,臨床実験データなど,さまざまな機密情報を抱えている。

 Windows RMSは「.NET Framework」をベースにしたASP.NET Webサービス。Microsoft社は,独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV),アプリケーション・サービス・プロバイダ,システム・インテグレータなどと協力し,Windows RMS対応アプリケーションの開発に取り組んでいるという。クライアントおよびサーバー向けソフトウエア開発キット(SDK)を使って,開発者は既存のアプリケーションにアクセス管理機能を組み込むことが可能。

 Windows RMSのコンポーネントは,Microsoft社Webサイトから入手できる。

 なお,「Office System」のうち,「Office Outlook 2003」「同Word 2003」「同PowerPoint 2003」「同Excel 2003」がWindows RMSに対応している。ちなみに,米メディアの報道(CNET News.com)によると,Windows RMSは無償で入手できるが,Windows RMSで保護した情報を利用するにはクライアント・アクセス・ライセンスを購入する必要がある。ライセンス料は1ユーザーあたり37ドル。

 Microsoft社は,セキュリティに関するその他の取り組みについても同日明らかにした。2004年前半に「Software Update Services 2.0」をリリースし,「Windows」「SQL Server」「Office System」「Exchange Server」に関するパッチ適用やスキャン,インストールをスムーズに行えるようにする。「Windows XP Service Pack 2」を2004年前半に,「Windows Server 2003 Service Pack1」を2004年後半にリリースし,両プラットフォームのセキュリティ強化を図る。また,Windowsの次期メジャー・リリース「Longhorn」(開発コード名)に,セキュリティ技術「Next-Generation Secure Computing Base(NGSCB)」を組み込む計画である。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]