英Sophosが,2004年前半におけるコンピュータ・ウイルスなどの被害状況に関する調査結果を米国時間7月28日に発表した。2004年1月~6月にSophos社は,前年の同期間に比べ21%多い4677種類の新ウイルス/ワームを検出したという。最も大きな被害を及ぼしたのは「Sasser」ワームで,5月に初めて検出されたにもかかわらず,全体の4分の1以上を占めた。

 2004年前半は,「Netsky」と「Bagle」の作者が勢力争いを繰り広げた影響で,両ワームが猛威を振るった(関連記事)。その結果,ワースト10に両ワームの亜種が6種類も入った。なお,SasserとNetskyを作ったとされる人物は,既にドイツ当局が逮捕している(関連記事)。

■2004年前半のウイルス被害ワースト10
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順位    名称              分類               検出率
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1      W32/Sasser       (Sasserワーム)     26.1%
2      W32/Netsky-P     (Netskyの亜種)     21.4%
3      W32/Netsky-B     (Netskyの亜種)     11.0%
4      W32/Netsky-D     (Netskyの亜種)      6.8%
5      W32/MyDoom-A     (MyDoomワーム)      4.4%
6      W32/Zafi-B       (Zafiの亜種)        4.0%
7      W32/Netsky-Z     (Netskyの亜種)      3.1%
8      W32/Netsky-C     (Netskyの亜種)      2.4%
9      W32/Sober-C      (Soberの亜種)       1.5%
10     W32/Bagle-A      (Bagleワーム)       1.2%

-      その他            -                   18.1%
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出典:Sophos社

 Sophos社上級セキュリティ・アナリストのChris Kraft氏は,「Sasserは,『Blaster』と同様にWindowsの脆弱性を悪用して感染を広げた」と説明する。「この種のワームは,“OSなどに欠陥が発見されても,パソコン・ユーザーはすぐにパッチを適用するわけではない”という現状を如実に物語っている」(同氏)

 また同社は,携帯電話機に感染するワーム「Cabir」が6月に初めて見つかったことにも触れた。同ワームは,Bluetoothを使って近くにある別の携帯電話機に感染する機能を持っていたという。ただしCabirは,作者である「29A」が携帯電話プラットフォームでウイルス/ワームを作れることを誇示するために,ウイルス対策ソフトウエア・ベンダーに送付した“コンセプト・ワーム”。現在のところ,一般に広まってはいない。

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