米Transmetaは,マイクロプロセサ製品系列「Efficeon」の将来版で米Microsoftの「Windows XP Service Pack 2(SP2)」に組み込まれるウイルス/ワーム対策技術「Execution Protection」に対応する。Transmeta社が米国時間5月17日に明らかにしたもの。Efficeonに導入する「No Execute」(NX)という技術をExecution Protectionと連携させ,ウイルス/ワームによるバッファ・オーバーフローの悪用を防ぐ。

 バッファ・オーバーフローとは,アプリケーションのデータ格納用メモリー領域(バッファ)に想定を超えるサイズのデータを書き込み,データあふれを故意に起こす手法。バッファからあふれてデータ保存用メモリー(データ領域)に書き込まれたデータはプログラムとして実行可能な状態になることがあり,ウイルス/ワームはこれを踏み台にして活動する。

 Execution ProtectionとNXを組み合わせるとデータ領域からのプログラム実行を阻止できるので,ウイルス/ワームの無力化が可能となる。Transmeta社社長兼CEOのMatthew R. Perry氏によると,「Execution Protectionへの対応は,プロセサの半導体回路は変更せず,すべて(x86系命令をプロセサ内蔵の独自命令セットVLIWに変換する)Code Morphing Softwareの修正で行った」という。

 Efficeonの将来版は2004年中盤以降に出荷を開始する予定。NXは標準機能として搭載する。Transmeta社は,NX対応版Efficeonで構築したシステムを,2004年5月中に内部評価用としてMicrosoft社に提供するとしている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,Windows XP SP2のリリースは2004年第2四半期の予定という。Execution Protectionに対しては,米Intelと米AMDも対応する計画を明らかにしている(関連記事)。

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