米Transmetaは,x86互換の新型マイクロプロセサ製品系列「Efficeon TM8000」を米国時間10月14日に発表した。同社では,同製品系列プロセサを搭載するシステムの出荷開始を2003年第4四半期と見込む。

 Efficeonプロセサは,超小型または一般的なノート・パソコンのほか,タブレットPC,静穏タイプのデスクトップ・パソコン,ブレード・サーバー,シン・クライアント,組み込みシステムなどに適した製品という。「他社の競合プロセサと同等またはそれ以上の性能を備える。7Wという厳しい発熱制限に対応しているので,ファンを持たないノート・パソコンに向いている」(同社)

 256ビット長のVLIWアーキテクチャをベースとするマイクロアーキテクチャにより,1クロック当たり最大8命令の実行が可能。新設計のCode Morphing Softwareと組み合わせることで,MMX,SSE,SSE2といったマルチメディア命令を含む最新x86ソフトウエアとの完全な互換性も実現したという。

 チップ内にAGP-4X/DDR-400(オプションでECCを提供)/HyperTransport/LPCバス用のインタフェース・モジュールを統合したことで,ノース・ブリッジLSIを別途用意する必要がない。HyperTransportのデータ転送速度は最大1.6Gバイト/秒あり,同社は「CrusoeプロセサのPCIインタフェースのI/Oスループットより最大12倍高速」としている。

 同社は同プロセサを開発するにあたり,米NVIDIAの協力を得た。「Efficeon TM8620」のパッケージ・サイズは21×21mmで,NVIDIA社のサウス・ブリッジLSI「nForce3 Go 120 Southbridge」(22×22mm)と組み合わせて使用する。「競合プロセサを使う場合と比べ,LSI設置面積が4分の1で済む」(同社)。また「Efficeon TM8600」もサイズは29×29mmで,競合プロセサよりも小さい。

 同プロセサの製造は,まず台湾のTaiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)が130nmルールのCMOSプロセスで行う。動作周波数は1GHzを超える程度という。2004年後半には,富士通があきる野技術センターで90nmルールCMOSプロセスで同プロセサの製造を開始する予定。これにより動作周波数は2GHzに高速化する。

 なお同プロセサについて,米メディアは以下のような報道を行っている。

CNET News.com:2003年中に出荷開始するプロセサの動作周波数は1GHz~1.3GHzで,キャッシュ容量は512Kバイトまたは1Mバイト。

InfoWorld:動作周波数は1GHz~1.2GHzで,1Mバイトのレベル2キャッシュを持つ。1000個ロット時の単価は100ドル強。

InformationWeek:2004年に提供予定の90nm版Efficeonプロセサの消費電力は25W(2GHz動作時)。2005年には,65nm版Efficeonのリリース計画もある。

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