「デスクトップ・パソコン向けプロセサ市場では,2003年まで米Intelの独走状態が続くだろう」。米In-Stat/MDRは米国時間10月8日に,デスクトップ・パソコン向けプロセサ市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年末にはIntel社が81%の市場シェアを獲得する見込みだ。

 2002年前半は,Intel社の「Pentium 4」が動作周波数において,米Advanced Micro Devices(AMD)の「Athlon XP」に大きく水をあけた。しかし2003年には,AMD社が「Hammer」で反撃に出る可能性がある。

 In-Stat/MDR社ジェネラル・マネージャのKevin Krewell氏によると,「Intel社は,動作周波数の大幅な向上と,消費者向けパソコン市場における『Hyper-Threading』技術の導入によって,ムーアの法則を忠実にたどることが可能となった」と説明する。「この動作周波数における戦いで,Intel社はAMD社より優位に立っている。AMD社のAthlon XPは,動作周波数ではPentium 4より劣っているため,Intel社の『Celeron』との競合を強いられるだろう。2003年前半に,Hammerの出荷が本格的に開始されるまで,Intel社の独走状態が続くはずだ」(同氏)

 その他の主な調査結果は次の通り。

・2002年におけるパソコン市場は,壊滅的だった2001年の余波を受け,わずか1%の成長にとどまる。しかし2003年には回復し,13%拡大する。市場回復の要因となるのは,Intel社の「Banias」や「Prescott」,AMD社のHammerなどの新製品のリリースと,需要の盛り上がりである。

・Intel社による動作周波数の加速は,2004年にペースを落とす。消費電力の問題が障害となるためだ。Intel社はHyper-Threading技術を活用して,プロセサの性能向上に努めるだろう。

・デスクトップ向けプロセサの平均販売価格は,2001年第1四半期に200ドルを切った。これは「Pentium III」アーキテクチャの動作周波数が1GHzどまりだったことや,Pentium 4の性能が大幅に向上する前だったことに起因している。2003年には,景気の緩やかな回復やHyper-Threadingなどの新技術によって,平均販売価格は回復する。しかし,再び200ドル台に達することはない見通しだ。

・Intel社のチップセットは,2002年から2003年前半にかけて,DDR SDRAM対応とグラフィックスとの統合に重点を置く。また2003年後半には,PrescottをDDR-IIメモリーに対応させる。RDRAMメモリに対応した「850E」チップセットは,ハイエンド製品のニッチ市場向けとする。

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