Paul Otelliniインテル副社長米Intelが米国時間8月28日に,サンノゼで開催中のIntel Developer Forum 2001 Fall(IDF)において,将来の技術開発の方向性について説明を行った。上級副社長兼インテル・アーキテクチャ事業本部長のPaul Otellini氏が基調講演で明らかにしたもの。

 同社は今後,マイクロプロセサの動作周波数を高めるだけではなく,ユーザーの生産性やコンピュータ・エクスペリエンスの向上に向けた技術/製品開発を進めていくという。

 「プロセサのスピードは重要。しかし,それだけでは不十分」(同氏)。ちなみにOtellini氏は講演で,3.5GHzのPentium 4プロセサのデモンストレーションを行い,「Pentium 4のアーキテクチャで,10GHzも可能」との見通しも明らかにした。

 Intel社は「コンピューティング業界が成長し,顧客の製品購入の基準も変化している」と説明する。「プロセサのスピードは最重要だが,顧客はスタイルや設置スペース,セキュリティ,消費電力,信頼性,通信機能,価格,ユーザー・エクスペリエンスといったことに目を向けている」(Intel社)。これら顧客の要求条件に応えるべく技術開発を行う。

 その具体例としてOtellini氏は,「Hyper-Threading」と「Banias」と呼ぶ技術を紹介した。

 Hyper-Threadingは,開発コード名を「Jackson Technology」と呼んでいたサーバー向け技術で,命令をスレッド・レベルで並列処理する。「プロセサ内部のリソースを効率的に使って,複数の命令を並列に実行する」(同氏)。OSからは,一つのプロセサを二つの論理プロセサとして扱える。これによりサーバーやワークステーションで,30%の性能向上が見込めるという。

 Intel社では,2002年に登場するサーバー用「Xeon」プロセサにこの技術を導入する予定。その後数年で,他の製品にも導入していくという予定である。なおソフトウエア開発システムのプロトタイプは年内にも利用可能になる予定。

 Baniasは主に,ノート・パソコン向けマイクロプロセサのCPUコアに向けた技術である。Intel社では,「低消費電力を実現するために新たな回路技術を導入する」と説明している。またBaniasには,「インターネットなどのネットワークにシームレスに接続できる次世代ノート・パソコンを実現するための技術も取り入れる」(Intel社)という。またBanias技術は高密度サーバーや小型デスクトップ・パソコンにも導入していくという。なおBaniasが利用可能になるのは2003年前半の予定である。

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[www.intel.comに掲載の発表資料1]
[www.intel.comに掲載の発表資料2]