米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は,同社の会員向けウイルス防止サービスが,「開始以来約1年間でウイルス付き添付ファイルを10億件以上遮断した」と,米国時間5月14日に発表した。「会員1人あたり10日に1回,つまり計30通のウイルス攻撃を防いだことになる」(AOL社)

 ブロードバンド接続が普及する中,クラッカ(悪意のあるハッカー)やウイルスの攻撃に対して家庭のコンピュータは無防備になっており,ウイルス防止はますます重要な課題になっている。「当社は,自動ウイルス防止スクリーニングやカスタム化したファイアウオール,ペアレンタル・コントロール機能,スパム遮断機能をはじめ,新たなスパイウエア防止機能『AOL Spyware Protection』などの提供を通じて,AOL会員の家族が重要な個人情報を保護し,安全にオンラインを利用できるよう支援する」(AOL社Integrity Assurance担当チーフ・トラスト・オフィサ兼上級バイス・プレジデントのTatiana Gau氏)

 AOL社は2003年4月,AOLメンバーを対象に,送受信メールの添付ファイルをスキャンする無料の自動ウイルス防止スクリーニング・サービスを開始した。ウイルスを検出すると,自動的に添付ファイルからウイルスを除去してから受信箱に届けるか,添付ファイルを取り除いた電子メールを送信者に返送し,ウイルスに感染していたことを通知する。同サービスでは,米Network Associatesの「McAfee VirusScan」を利用する。Network Associates社のウイルス対策技術研究機関Anti-Virus Emergency Response Team(McAfee AVERT)のウイルス定義データベースは,「9万種類以上のウイルスや悪意のあるコードを検出可能で,毎月300種類以上の情報が追加されている」(AOL社)。

 また,AOL社は電子メールだけでなく,パソコン全体を保護する有料のウイルス防止サービス「McAfee VirusScan Online」も提供している。毎月2ドル95セントの追加料金で,「パソコンのハード・ディスクやCDの感染,悪質なWebページ・スクリプトなど,オフラインとオンラインの脅威から会員を保護する」(AOL社)

 ちなみに「Worm/Sobig.F」が猛威を振るっていた期間,AOLサービスではピーク時に1日当たり2400万件のウイルスを遮断したという。

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