米独占禁止法違反を巡る米Microsoftと米司法省および18州の訴訟で,コロンビア特別区巡回控訴裁判所は,米連邦地方裁判所の判決を支持し,和解条件を承認する決定を下した。Microsoft社が米国時間6月30日に明らかにしたもの。同訴訟は,2001年11月に和解交渉が合意に達し,2002年11月に連邦地裁が和解案を大筋で承認した。

 当時和解に合意した州は9州で,和解反対派のうちマサチューセッツ州とウエストバージニア州が控訴し,残る7州は控訴を断念した。しかし,2003年6月にウエストバージニア州が控訴を取り下げたため,係争を続ける州はマサチューセッツ州のみとなった。同州にコンピュータ業界団体(CCIA:Computer and Communications Industry Association),ソフトウェア情報工業会(SIIA:Software and Information Industry Association)が加わり,不服申し立ての審査を請求し,控訴裁は2003年11月に審問を行った。

 Microsoft社によると,今回,6人の判事は全員一致で連邦地裁の判決支持を可決したという。Microsoft社上級副社長兼法務顧問のBrad Smith氏は,「過去2年にわたって当社が歩んできた道のりの中で,今回の決定は,当社が抱える法律問題を解決し,当社を前進させるために最も重要だ。全員一致の裁決は,2年前の和解判決が公正かつ正当であることを明示している」と述べた。また,「この裁判の焦点は,当社が製品からソフトウエア・コードを取り除くべきか,または特定の機能を除いた複数バージョンの製品を提供するべきかであった。今回の決定は,ソフトウエア・コードを削除することが,消費者や業界全体にとって,非常に大きな後退となるとの見解を意味している」(同氏)と付け加えた。

 なお,Microsoft社はこれまで数々の集団訴訟で和解が成立しており,マサチューセッツ州の消費者が起こしていた集団訴訟でも和解に達したことを,6月29日に発表している。

 ちなみに欧州においては,欧州委員会(EC)との和解交渉が決裂。欧州連合(EU)の競争法(独占禁止法)に違反したとして,ECが4億9720万ユーロの罰金を含む制裁措置を3月に発表した。

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