米国マサチューセッツ州は,米連邦地方裁判所が米Microsoft独禁法訴訟の和解案を大筋で承認したことに対し,控訴手続きを行った。同州検事総長のTom Reilly氏が米国時間11月29日に明らかにしたもの。

 米連邦地裁はMicrosoft社と米司法省および9州(ニューヨーク州,オハイオ州,イリノイ州,ケンタッキー州,ルイジアナ州,メリーランド州,ミシガン州,ノースカロライナ州,ウイスコンシン州)との間で合意に達した和解案を,大筋で承認するとの判決を11月1日に下している。

 Reilly氏は米連邦地裁の判断について,「この巨大ハイテク企業(Microsoft社)が21世紀においても引き続きコンピュータとソフトウエア業界を事実上支配することを容認するものだ」と述べた。

 「Microsoft社の訴訟はわれわれの時代で最も重要な独占禁止問題であり,21世紀における経済の方向性を決定付けるものだ。この訴訟が消費者と市場競争に対して持つ意味は重大である。明確な規制を設けず,Microsoft社のやり方に任せていたら,同社は略奪的慣行を続けるだろう。そうなれば,消費者の選択肢と事業革新の真のチャンスは奪われる」(Reilly氏)

 同氏は今回の控訴に際して,「消費者の保護」「市場競争の復活」「企業責任の遂行」を考慮した判決を訴えている。

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,和解を拒否していたマサチューセッツ州のほか8州のうち,アイオワ州など7州は控訴を断念したという。ウェストバージニア州は12月2日までに決断を下す。

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