米Microsoftは,同社に対して欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)が3月に下した競争法(独占禁止法)違反に関する決定を不服として,ルクセンブルグの欧州第一審裁判所に提訴した。Microsoft社が米国時間6月8日に明らかにしたもの。

 ECは,Microsoft社が欧州市場におけるパソコンOSの独占的立場を悪用し,サーバーOSやメディア・プレーヤの販売に関して欧州の独占禁止法に違反したと判断。3月24日に,4億9720万ユーロの制裁金支払いをはじめ,Windowsのインタフェース情報の開示,「Windows Media Player」非搭載版OSの提供などを命じる制裁措置を発表した。

 これに対しMicrosoft社は,「当社の和解案の方が,ECの裁定より,欧州消費者に多くの選択肢を与え,ソフトウエア企業に多くの商機を提供することができたはず」とコメントしていた。 

 Microsoft社欧州事業顧問弁護士のHoracio Gutierrez氏によれば,同社は6月7日に申し立ての書類を提出した。「この問題は,消費者と欧州企業の利益を中心に考えるべきだ。消費者と業界に恩恵をもたらすのは製品開発と競争だ。ECの判断は,企業の開発努力を踏みにじり,製品向上の取り組みに制限を与えるものだ。ECの判断によって定められた法的基準は,世界の経済成長にとって重要な研究開発の意気込みをまったく変えてしまう」(同氏)

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,Microsoft社は,ECの決定の無効化と,制裁金の取消もしくは大幅な減額を求めているという。

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