フィンランドNokia,フィンランドNordea,米Visa Internationalの3社がフィンランド時間9月24日に,携帯電話機を使ったmコマース向けの決済システムに関し,「Electronic Mobile Payment Services(EMPS)」と呼ぶプロジェクトを立ち上げたことを明らかにした。3社はフィンランドのヘルシンキで150台の携帯電話機を使った試験サービスを行う。

 EMPSプロジェクトは,「デュアル・チップ」と呼ぶ技術をベースとする。具体的には,Nordea社の銀行向けATMカードのようなカード技術と契約者を識別するSIM(Subscriber ldentity Module)カード技術を組み合わせる。SIMカードは,契約者の個人情報を記憶するもの。

 WIM(Wireless Identity Module)と呼ぶ認証機能を備えたアプリケーションを用いる。チップ・カードはWIN技術に対応する。チップ・カードを差し込んだWAP対応携帯電話機で,Visa社の「Visa Electron」と呼ぶトランザクション・サービスを介して決済を行う。

 3社はEMPSプロジェクトの第1弾として,オンライン・スーパーのフィンランドRuoka.netおよび映画サービスのフィンランドKinopalatsiの2社と提携することも明らかにした。

 3社による「デュアル・チップ・システム」は,北欧地域の金融業界コンソーシアムMobey Forumが最近発表した決済システムのアーキテクチャとも互換性を確保しているという。3社は実地試験の結果について,Mobey Forumなどの標準化機関やコンソーシアムに報告する。

 Nordea社は大手金融グループで,北欧地域を中心に世界22カ国に1260の支店を展開している。約1000万の顧客を抱える。

 なおNokia社は同日,同様のmコマース向け決済システムの試験サービスに関し,米IBM,フィンランドLuottokunta,フィンランドRadiolinjaの3社と協力体制を敷くことを明らかにしている。Luottokunta社はVisa社やEurocard/MasterCardの現地法人を買収したクレジット・カード会社。Radiolinja社はGSMサービスを提供する無線キャリア。Nokia社はロンドンで開催中のmコマース技術会議「Mobile Commerce World Europe 2001 Conference」にて,決済アプリケーションやWIM技術のデモンストレーションを行う。

 Nokia社はmコマースに関し,「現在の電子商取引ユーザーの約8倍に相当する人々が,mコマースを利用するようになる。mコマース・サービスに関心がある回答者の約90%は,mコマースによる利便性を得るために割増料金を支払っても構わないと考えている」との調査結果を発表している。

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[発表資料1]
[発表資料2]