米Cahners In-Stat Groupは米国時間4月18日,モバイル機器を用いた電子商取引「mコマース」の市場に関して調査した結果を発表した。

 無線事業者にとってmコマースは,新しい収入源にはなるものの,mコマース市場の当初の伸びは一般の予測よりもゆるやかなものになるという。成長が遅れる理由としては,無線データ・サービスに対するユーザの無関心や次世代無線ネットワーク構築の遅れのほか,日本,欧州,米国以外におけるmコマース・サービスの開発がはかどらないことや利用可能なサービスが限られていることなどが挙げられる。

 「将来的な売上高からユーザー数の予測にいたるまで,多くの誇大宣伝がmコマース市場を取り巻いている」(In-Stat社Mobile Commerce Service部門上級アナリストのKen Hyers氏)。In-Stat社の分析によると,mコマース市場は今後5年間で数十億ドル規模に成長するという。「市場が数千億ドル規模に成長するとの予測は,たいへんな過大評価だ」(In-Stat社)。

 「現在,無線機器を使ってインターネットに接続し,電子商取引で売れ行きの良い書籍,CD,コンピュータといった製品を購入するユーザーは非常に少ない。無線データ・ユーザーの携帯電話機利用は,ショート・メッセージの送受信,スポーツの試合結果や株価のチェックが多い」(Ken Hyers氏)。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・現在,無線インターネット・ユーザの45%が無線インターネット・サービスを使って製品を購入している。そのうち60%は個人と仕事用途に製品を購入しており,仕事用途のみというユーザはわずか9%だった。

・mコマースの売れ筋製品は,航空券など仕事で使用するチケット。企業向け市場のmコマースでは,予約サービスなどのモバイル社員向けサービスが早期に成功する可能性が高い。

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