米IBMが米国時間10月30日に,モバイル環境での電子商取引すなわち“mコマース”向け新製品とサービスを発表した。概要は以下の通り。

■「WebSphere Everyplace Suite Service Provider Edition」:
 サービス・プロバイダ向けミドルウエア製品。プロバイダの必要に応じた機能や拡張性を提供する。詳細は以下の通り。

・無線通信用ゲートウエイ。有線・無線の複数のネットワークやプロトコルに対応。
・WWWコンテンツを無線端末向けに変換する機能。
・メッセージのキューイング機能や同期化機能。オフラインでも対応可能。
・エンド・ユーザー管理機能,エンド・ユーザー向けカスタマイズ機能。500万人までのユーザーに対応する。負荷バランシング機能は,113億ヒットを記録したシドニー・オリンピックの公式WWWサイトで用いたもの。
・暗号機能やその他セキュリティ機能など。

■「IBM eServer p640」:
 IBM社が10月に発表したサーバー製品の統一ブランド「eServer」の一つ,大規模向け高性能サーバーの「pSeries」の新製品。マイクロプロセサは「POWER3-II」,主記憶は最大16Gバイトである。電子商取引向けの基準である「NEBS Level3」を満たす。

■「mコマース向けホスティング・サービス」
 無線キャリアと提携し,IBM社のホスティング・サービスで無線対応を強化する。2000年中にサービスを開始する予定。IBM社は現在,米国,欧州,アジアに15カ所の電子商取引向けホスティング・センターを持つほか,世界各地に175のデータ・センターを擁する。米AT&T,Diveo,米Equinix,蘭KPNと米Qwest Communicationsの合弁KPNQwest,伊Telecom Italiaとの提携により,今後米国および欧州地域に68カ所のセンタを新たに建設する予定であるという。

 また英BT Cellnet,伊Telecom Italia,Avenir, UniXSといったサービス・プロバイダーが同日,IBM社のmコマース技術やサービスを採用すると発表した。

 IBM社は,WWWインテグレータのAgency.com,Razorfish,Luminant,ソフトウエア開発ベンダーのMicroStrategy,W-Trade Technologies,River Run Software Group,機器ベンダーの米Palm,英Symbian,スウェーデンEricsson,携帯電話機ベンダのフィンランドNokia,米Motorolaの各社との提携を基に,モバイル・インターネット向けソリューションの一層の拡充を目指すという。

 無線インターネットのインフラ市場は,2003年までに1000億ドルを超え,このうちシステム,ソフトウエア,サービスのカテゴリが全体の5割近くを占めるという。

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[発表資料]