米Analysysが米国時間2月14日に,「無線位置情報サービスがキラー・アプリケーションとなる可能性はあまり高くない」とする調査結果を発表した。

 位置情報サービスは,ユーザーの所在位置に応じてエンターテインメント情報,交通情報,地図,テレマティックス,ネットワーク管理システムなどを提供するサービスである。

 「位置情報サービスがモバイル機器向けの重要なサービスの一つとなることは間違いない。しかし無線サービス事業者は,通信サービスの収入が落ち込んでいることや第3世代(3G)ネットワークの構築に伴うコストが大きいことなどから,既存のサービスに付加価値を加えることで新たな収入源とし,顧客を引き留めるという方向に進んでいくとみられる」(Analysys社)。

 Analysys社は,位置情報サービス市場が売上高ベースで2002年末時点に20億ドル規模に,2006年末には185億ドルを超える規模に拡大するとみている。

 「2000年末時点におけるmコマース市場の規模はおよそ2500億ドルで,これを基準として考えると位置情報サービスの売上高は(キラーと言うには)かなり小さな数字にとどまる」(Analysys社アナリストのJulie Robson氏)。

 Analysys社は,世界における位置情報サービスの利用者は,2006年末の時点で6億8000万人を超えると予測する。これは,モバイル・サービスの加入者全体の50%程度で,無線インターネット・ユーザー全体の70%強であるという。

 2006年時点での売上高を地域別にみると,欧州市場が全体の31%を占め,米国が22%で続く。また法人対消費者でみると,消費者向けが全体の77%を占める。

 売り上げの内訳は,(1)無線ネットワークを介したコンテンツ配信の手数料などトラフィック関連,(2)ユーザーの位置を把握するシステムなど位置情報技術関連,(3)トランザクション手数料や広告費などmコマース関連,の3つのカテゴリに大別される。

 同社は,位置情報サービスの拡大に関し,相互運用性など技術面で課題があることも指摘する。

 「位置情報技術について,無線サービス事業者は,現行の電話機ごとに組み込まれたID技術を当面利用していきたいと考えており,長期的にも技術の統合や標準化には消極的」(Analysys社のアナリスト,Debbie Morgan氏)。

 Analysys社は,位置情報サービスや技術に関し,世界の有力企業として以下を挙げている。AirFlash,Cell-Loc,Cambridge Positioning Systems (CPS),CT Motion,diAx,Ericsson,Lucent Technologies,Mobilkom,Motorola,Nokia,NTTドコモ,SigmaOne,SignalSoft,SnapTrack,Sprint PCS, Vodafone,Webraska,whereonearth.com,Xmarc,Yeoman Group。

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