グローバリゼーションを経営の重点項目に掲げる日本企業は多く、情報システムの仕事のおいても世界の動向を踏まえて取り組む必要がある。
といっても、多くのITプロフェッショナルの仕事場は依然として日本であろう。顧客は日本企業、ITを適用するのは国内業務、会話も文書作成においても日本語だけを使う。開発にあたっては、良く言えば現場の要請を徹底的に取り込み、悪く言えば顧客や発注先の言いなりになって働く。
こういう環境であっても、グローバリゼーションを考えて行動することが本来望ましい。顧客は世界の中でどういう位置にあるか。国内業務は世界の競合会社の業務とどう違うのか。この要件を英語で記述したらどうなるか。
こう考えることから次の質問が生まれてくる。何が何でも現場の要請を取り込むことが果たしてよいのか。顧客から開発を請け負っている主契約者が言ってくることは、本当に顧客の要請なのか。言うなりに働くことは顧客のためになるのか。
つまり、日本にいながらにして世界を観る、世界を感じるセンスがITのプロフェッショナルには求められる。
海外の顧客企業やIT企業とともに仕事をすれば世界を観るセンスを身に付けられるし、世界を観て仕事をしているプロフェッショナルの活動を知るだけでも視野を広げられる。そこで今回、「世界への視点」を持つために参考になるプロフェッショナル9人の発言を紹介する。
2人は海外で起業したり、海外企業で働いた人である(「何千万ものユーザーに使ってもらえる」~米Treasure Data太田氏、「日米で技術者の力に差はない」~フォティーンフォティ技術研究所 鵜飼氏)。
日本で開発した製品やサービスを世界に広げようとする人もいる(「日本の“家電力”は世界一」~Cerevo岩佐氏、「LINEを世界の共通文化にしたい」~LINE舛田氏)。
グローバルなコミュニティ活動に取り組むことも、世界を観るよい機会である(「日本のJavaコミュニティと世界をつなぐ架け橋に」~日本オラクル 寺田氏、「ネットワークはオープンソースのアプローチで進化する」~米ヴイエムウェア カサド氏、「常識って、邪魔だなって」~JANOG川村氏)。
世界中のプロフェッショナルと交流する活動として、標準化がある(「標準化は世のため、人のため、日本のため」~ETSIボードメンバー 釼吉氏、「歩きながら無線LANを利用可能に」~IEEE 802.11aiタスクグループ 真野氏)。
9人の仕事ぶりを読み、ぜひ世界を感じていただきたい。
我らプロフェッショナル 世界を元気にする100人
鵜飼裕司氏
フォティーンフォティ技術研究所社長
「日米で技術者の力に差はない」
太田一樹氏
米Treasure Data CTO
「何千万ものユーザーに使ってもらえる。それがITの力」
マーティン・カサド氏
米ヴイエムウェア ネットワーク担当チーフアーキテクト
「ネットワークはオープンソースのアプローチで進化する」
川村聖一氏
日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG)会長/NECビッグローブ
「常識って、邪魔だなって」
釼吉薫氏
ETSIボードメンバー/ITU-T SG11副議長
「標準化は世のため、人のため、日本のため」
寺田佳央氏
日本オラクルシニアJavaエバンジェリスト
「日本のJavaコミュニティと世界をつなぐ架け橋に」
舛田淳氏
LINE執行役員
「LINEを世界の共通文化にしたい」
真野浩氏
IEEE 802.11aiタスクグループ議長
「歩きながら無線LANを利用可能に」
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