写真●日本オラクルの寺田佳央シニアJavaエバンジェリスト
写真●日本オラクルの寺田佳央シニアJavaエバンジェリスト
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 「なんでエバンジェリストをやっているのですか」とインタビューの際に素朴な疑問をぶつけてみた。

 寺田佳央氏は笑いながら「よくその質問をされます。Javaがオープンで心底好きな技術だからです」と答えてくれた。

 寺田氏は開発言語Javaのエバンジェリストである。日本のJavaコミュニティといえば日本Javaユーザーグループ(JJUG)が有名。その参加者で寺田氏を知らない人はいない。

 2013年5月に開催された開発者向けのイベント「Java Day」や、小規模なセミナー「JJUGナイト・セミナー」などを寺田氏は企画し、運営している。

 もっとも寺田氏ほどの技術力を持っていれば、コミュニティの運営よりも、最前線のエンジニアとして活躍することもできるだろう。これが冒頭の質問をした理由であった。

 寺田氏は、Javaのオープンなところに惹かれているという。Javaのコミュニティには、興味があればだれでも入ることが可能だ。メーリングリストに登録でき、自分の意見をメーリングリストに投稿できる。

 こうして世界中のJavaユーザーが話し合って言語仕様を決めていく。一部のエキスパートだけで言語仕様が決まるわけではない。

 ここで重要になるのが、コミュニティとJavaの開発元である米オラクルとを結ぶエンジニアの存在だ。いくら素晴らしい機能がコミュニティから提案されても、意見をとりまとめているオラクルに伝わらなければ意味はない。

 寺田氏はコミュニティの意見を集約して、日本オラクルまたは米オラクルに伝えていく。「コミュニティと企業をつなぐ架け橋になれたら嬉しい」。

 JJUGを中心に日本各地で開催されているJavaコミュニティの集まりに寺田氏は参加し、Javaエンジニアから意見を聞いて回っている。「日本全国のJava開発者と直接、会えることは貴重。これを元にUS本社にフィードバックすることで、将来のJavaが今よりもさらに良いものとなっていくことに喜びを感じる」(寺田氏)という。

 寺田氏とJava技術者の活躍によって日本発の機能がJavaに取り入れられ、世界中のJavaエンジニアが愛用する日が来るかもしれない。


安藤 正芳
日経ソフトウエア
 2004年入社後、日経ネットワーク、日経コンピュータで経験を積み、日経ソフトウエアに配属される。最近はJava仮想マシン上で動くいわゆるJVM言語に関心を持つ。
■変更履歴
最後から一つ前の段落と最後の段落の表現を、一部修正いたしました。[2013/06/17 19:10]