言うまでもないが今、「新しいこと」が求められている。
経営者は情報システム部門やシステム子会社に対し、「ITにこれだけ投資しているのだから、ビジネスにもっと貢献する新たな成果はないのか」と問うてくる。
こう問われたシステム部長や子会社の役員は部下を交えて考える一方、IT企業に対し、「新しいことを提案してくれないか」と尋ねる。
しかし「新しいこと」を発案し、関係者の賛同を得て計画をまとめ、実行に移し、計画した通りの成果を出すのは容易ではない。
様々な障壁があるが、最大のものは「新しいこと」を飲み込めない人達である。どれほど素晴らしい提案や計画であっても、「今までやってきたことと違う」と不安を感じてしまい、新しいことに向けて動けない人はいる。いや、沢山いる。
しかもこうした人ほど、今までのやり方で成果を挙げていた功労者であったりする。抵抗勢力と呼ぶのは失礼である。
こう考えてくると、新しいことができるリーダーを待望するだけではダメで、組織の構成員一人ひとりが新しい何かを受け入れ、推進する風土を作らなければならない。それには、自分の仕事の範囲がどこまでかをはっきり把握した上で、時と場合によってその範囲を超えて考え、行動することが求められる。
センスのいいプロフェッショナルはそれができる。そうしたセンスを育むには、日頃とは違う視点を持って仕事の範囲を常に見直す習慣を付けるとよい。
そこで今回は「仕事の範囲を見直す視点」を持つために参考になるプロフェッショナル10人の発言を紹介したい。自分が10人のそれぞれの立場にいたら、どう考え、どう行動するか、それを考えてみるだけでも視野が広がるはずだ。
この10人は、日経BP社のIT専門記者100人が執筆した『我らプロフェッショナル 世界を元気にする100人』に含まれる。100人の方々はいずれも「仕事の範囲を見直す視点」を持っている。今回は、情報システムやソフトウエアの世界で、仕事の範囲を大きくとらえている方々を中心に紹介する。
米ツイッター共同創業者3人
「デザインが重要」で「はるかに簡単」、「“わびさび”に学んだ」
上野耕司氏
JUAS ITサービスマネジメント研究会長
「運用に必要なのは高度なマネジメント能力だ」
桑原里恵氏
情報システムコーディネーター
「30年間コンピュータの可能性にわくわくし続けています」
榊原彰氏
IBMディスティングイッシュトエンジニア
「クラウドは“黒船”、勝負は創造力で決まる」
佐藤賢治氏
佐渡総合病院外科部長/佐渡地域医療連携推進協議会理事
「頑張らないで“できる”方法を考える」
茂岩祐樹氏
DeNAのシステム基盤責任者
「システムは動き続ける。そのことをどこまで考えるか」
白石徳生氏
ベネフィット・ワン社長
「よいサービスを安く提供、将来はサービス格付け機関に」
當仲寛哲氏
ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所 代表取締役所長
「大事なのは情報の自由度です」
二ノ宮良夫氏
ティーピクス研究所所長
「IT業界にいた人は使えない」
外村仁氏
エバーノート日本法人会長/First Compass Group共同代表
「今回のイベントは異業種格闘技」