米NapsterとドイツのBertelsmann AGは米国時間5月17日に,Bertelsmann社がNapster社の資産を買収することで合意に達したと発表した。Bertelsmann社はNapster社の債権者に800万ドルを支払う。

 これによりNapster社は財務建て直しを図り,Konrad Hilbers氏をCEO,Shawn Fanning氏をCTOとして事業を継続する。

 「Napster社の役員会と合意に達したことを嬉しく思う。アーティストへは作品を配信するための最良の機会を与え,消費者には幅広い楽曲を提供できるよう注力する。新たなビジネスの手法を生み出すことは,たやすいことではない。しかしNapster社は率先して,著作権への配慮,アーティストへの報酬,消費者へのエンタテインメント提供を実現するビジネス・モデルを模索していく」(Bertelsmann社会長兼CEOのJoel Klein氏)

 Napsterファイル交換コミュニティの設立者であるFanning氏は,「Bertelsmann社は最初にNapster社に投資したときから,Napster社のビジョンを理解していた。私はNapster社で才能ある人々と協力して新たなサービスを完成し,スタートさせるつもりだ」と語った。

 Napster社とBertelsmann社は2000年11月に,Napsterサービスの有料化に向けて提携を結んでいる。その際,新たなビジネス・モデルのもとNapsterコミュニティのメンバーに向けた会員制ファイル交換サービスを展開していくと発表していた。

 Napster社のファイル交換サービスに関しては,米レコード協会(RIAA:Recording Industry Association of America)がNapster社の業務に著作権侵害があるとして業務の完全停止を求め,提訴したのが2000年6月のこと。2001年2月12日に,サンフランシスコ第9巡回区連邦控訴裁判所(連邦控訴裁)は「Napster社のユーザーが著作権を侵害している」との判断を下した。その後,Napster社は有料サービスの概要を明らかにし,会員制サービス向けの技術導入で技術企業と提携を結ぶなど,事業存続に努めていたものの,有料サービスのスタートは延期を重ねていた。

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