欧州の独立系半導体研究開発機関IMECが米国時間7月16日に,CMOS技術に関する二つの研究開発プログラム(IIAP:IMEC industrial affiliation program)を発表した。CMOS技術の実際的な限界について調査する「Advanced Device Implementation Program」と,従来のCMOS技術に替わるトランジスタ技術の研究「EMERALD(開発コード名)」である。

 Advanced Device Implementation Programは期間を3年間とする。ゲート長を45nmから22nmまで微細化した製造技術が実現可能かを調査する。現在,従来のCMOS技術ではゲート長50nm以下のトランジスタを使った量産は理論上不可能とされている。しかし,新たな素材やアーキテクチャを用いることでゲート長45nm以下での量産も可能と考える。

 Advanced Device Implementation Programでは従来のCMOS技術による限界を見極め,代替ソリューションを探る。国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)の最新版で取りあげている60~30nm向けの技術確立を目指す。

 実験では,ゲート・スタックやチャネル/基板技術,接合構造といったFEOL(front-end-of-line)に関する問題に焦点を当てる。高誘電率絶縁膜(high-K)素材などの採用について取り組む。

 EMERALDでは,ゲート長35nm以下のトランジスタにむけた製造技術の研究を行う。fully depleted SOIや原子間を広げた(strained)Si/SiGe層を利用したCMOS技術などを研究対象とする。現在のCMOS技術との互換性や新たな技術への移行性に関しても調査する。EMERALDはAdvanced Device Implementation Programを補完するかたちとなる。

◎関連記事
米IBMが210GHzと“世界最速"SiGeトランジスタを開発,2年以内に100GHzで製品化
土俵際のIT革命
ムーアの法則を書き換えろ! 米IBMが半導体の速度を最大35%高める技術を開発
「ムーアの法則は10年は大丈夫」,米インテルが「最速」トランジスタを開発
「米インテルが20GHz動作のマイクロプロセサに道」,開発責任者が日本で明かす
米IBMがSOI,9層銅配線,0.13μm CMOSの半導体技術を開発,来年早々に量産へ
IBMが高速SOIプロセスの量産技術を確立,性能が35%増,消費電力は1/3
IBM,マイクロプロセサを30%高速化できる半導体技術を開発
ムーアの法則はあと10年は大丈夫,米インテルが微細プロセス向け基盤技術を開発
米インテルが0.03μmのCMOSトランジスタを開発,5~10年で10GHzのMPU
米インテル,「0.13μm技術と300mmウエーハ使うチップの製造に成功」と発表

[www.businesswire.comに掲載の発表資料1]
[www.businesswire.comに掲載の発表資料2]