米IBMは米国時間12月11日に,0.13μmルールのCMOSと銅配線などを使った半導体量産技術を立ち上げたことを明らかにした。CMOS 9Sと呼ぶ半導体製造技術である。

 SOI(silicon-on-insulator:シリコン/絶縁膜構造技術と低誘電率(low-K)層間絶縁技術も用いている。銅を用いた配線は9層である。

 すでにIBM社では,CMOS 9Sを使った試作LSIを開発済みであり,「2001年はじめにも,顧客向けに最初のLSIを出荷できる」(IBM社)としている。量産ラインはバーモント州のBurlingtonに置く予定である。同社が来年投入予定の次世代eServer(開発コード名:Regatta)に載せるPOWER 4プロセサにも,CMOS 9Sを利用する。

 SOIは絶縁膜の上にSi単結晶の層を設け,寄生容量を減らす技術。高速で消費電力の小さい半導体を製造できる。ただし製造工程が複雑なためコスト面で問題があり,人工衛星やミサイルなど,コストをさほど問題としない用途で使われていた。同社は98年8月に,高速SOIプロセスの 量産技術を確立したと発表していた。

 なお「AS/400e」シリーズのプロセサでは,SOI技術によりマイクロプロセサの性能を20%~30%高めたという。とりわけAS/400eのハイエンド機「840」は,24プロセサ構成で従来製品に比べ約3.6倍の処理性能を達成した。

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