米IBMが米国時間4月3日に,LSIの速度を30%高速化できる半導体プロセス技術を開発したことを明らかにした。誘電率の低い絶縁膜材料(low-k)を使い,性能向上や高集積化,消費電力低減を図るうえで障害となっていた配線間のクロストークを抑える。IBM MicroelectronicsとIBM Semiconductor Research and Development Center(SRDC)が5年間を費やして共同開発した。

 この技術を用いた最初のLSIは,2001年にも利用可能になるという。誘電率の低い材料としては,米Dow Chemical製の「SiLK」を利用した。Dow社は,「SiLKは将来的には2億ドルの市場規模が見込める」(Dow Advanced Electronic MaterialsのGeneral Manager,Joe Carr氏)としている。

 すでにSRDCの試作ラインを使ってチップの製造を行っている。2001年前半には,Burlingtonの量産工場に技術を移転する。

 IBM社としては,今回の技術をセミカスタムIC(ASIC:application specific integrated circuit)に適用する計画を立てている。0.13μmルールの半導体製造技術と銅(Cu)配線技術を用いる「Cu-11」と呼ぶ製品系列で使う。Cu-11を用いると,1チップに最大4000万ゲートを集積できる。IBM社は,Cu-11向けのデザイン・キットの提供をこの7月にも始める予定である。キットには,ソフトウエア・ベースの開発ツールやサービスが含まれている。

 「高性能と低消費電力のニーズに強い,次世代のインターネット・サーバや携帯電話,ネットワーク機器などの用途に向ける」(IBM社)。

 ASICのほかにも,RS/6000やAS/400に搭載する次世代マイクロプロセサ「POWER4」にも,今回開発した技術を適用していく。

[発表資料]
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