「景気低迷が企業のIT支出に及ぼす影響は,業界によって大きく異なる」などとする調査結果を,米IDCが米国時間5月7日に発表した。最も大きな痛手を受けるのは通信業界や小売業界だが,金融業界やビジネス・サービス産業などは影響が小さいという。

 「景気減速による影響の大きさは,その業界がどの程度WWWサイトに注力しているかなど,マクロ経済学以外の要素も考慮する必要がある」(IDC,垂直市場担当副社長のLuisa Bordoni氏)。

 製造業界や医薬業界は,コスト削減やWWWサイトを活用した市場調査などで,インターネットのメリットを享受している。したがって,景気低迷にもかかわらずWWWサイトへ積極的な投資を継続する傾向がある。またビジネス・プロセスをWWW対応にすることで既に利益を得ている金融業界やビジネス・サービス業界なども,IT投資に積極的である。

 IDCのWorldwide Vertical市場調査部門上級アナリストの Anne Songtao Lu氏は「多くの企業が,米国経済の先行きが明確になるまでIT支出に関する決断を先延ばしにしているが,今年後半にはメドがつくだろう」とし,最終的に2001年のIT支出は前年を上回ると予測している。

◎関連記事
「世界ITサービス市場,2005年に1兆4000億ドルで現在の2倍」とデータクエスト
「世界のIT支出は2001年に9%増,米国は7%増」,米IDCの調査
「企業の65%は2001年のIT予算を増額」,米ガートナーの調査
「米国企業の2001年IT関連予算は8%増」,米大手投資銀行の調査
2005年のアジア太平洋地域におけるIT支出は6360億ドル---米調査会社
2005年のIT製品とITサービスの世界市場は約2兆6000億ドル
世界の中小企業によるIT関連支出は2001年に約1兆ドル---米社の調査
「2001年におけるIT求人数は90万人,熟練社員の不足は42万5000人」とITAA
「2004年の事業プロセス・アウトソーシング市場は3010億ドル」と米調査
ITプロジェクトの40%が不成功,平均で年間100万ドルをムダに---米社調査

[発表資料へ]