「景気低迷が企業のIT支出に及ぼす影響は,業界によって大きく異なる」などとする調査結果を,米IDCが米国時間5月7日に発表した。最も大きな痛手を受けるのは通信業界や小売業界だが,金融業界やビジネス・サービス産業などは影響が小さいという。
「景気減速による影響の大きさは,その業界がどの程度WWWサイトに注力しているかなど,マクロ経済学以外の要素も考慮する必要がある」(IDC,垂直市場担当副社長のLuisa Bordoni氏)。
製造業界や医薬業界は,コスト削減やWWWサイトを活用した市場調査などで,インターネットのメリットを享受している。したがって,景気低迷にもかかわらずWWWサイトへ積極的な投資を継続する傾向がある。またビジネス・プロセスをWWW対応にすることで既に利益を得ている金融業界やビジネス・サービス業界なども,IT投資に積極的である。
IDCのWorldwide Vertical市場調査部門上級アナリストの Anne Songtao Lu氏は「多くの企業が,米国経済の先行きが明確になるまでIT支出に関する決断を先延ばしにしているが,今年後半にはメドがつくだろう」とし,最終的に2001年のIT支出は前年を上回ると予測している。
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